https://www.onepeloton.com/

「20万円超のエアロバイク」が全米で爆発的に売れる理由

フィットネスクラブのSNS化に成功

米フィットネス業界に斬新なビジネス・モデルを提示した「ぺロトン」が、創業から僅か6年で時価総額40億ドル(4400億円)を達成し、ベンチャー投資家らの注目を浴びている。

マシンの画面でフィットネス教室

ぺロトンは通常フィットネスクラブ等に置かれるエアロバイク(stationary bike)を自社開発し、約2000ドル(22万円)で個人ユーザーに直販する。これと共に、人気インストラクターによるフィットネス教室の動画を(エアロバイクに装着された)ディスプレイにストリーミング配信する。

ユーザーはこの動画を見ながらペダルを漕ぐことで、自宅にいながらフィットネスクラブでトレーニングしているような気分になれる。こうした動画配信はライブとオンデマンドの両形式で提供されるが、両方合わせて月額で約40ドル(4400円)の受講料だ。

ディスプレイには同時に受講中の他ユーザーのフィジカル・データ(ペダルの回転数、走行距離、エキササイズの持続時間など)がリアルタイム表示される。このように多くのライバルたちと競い合うことで、自宅でのトレーニングにも張り合いが出る。

ちなみに同社の社名「ぺロトン」は元々、サイクリングの盛んなフランスにおける「集団走行(Peloton)」に由来する。自転車ロードレースに参加したライダーが集団を組んで、互いに刺激し励まし合いながら走る事を意味する。これをオンラインでソーシャル・ネットワーク(SNS)化したのが同社のサービスと見ることができる。

 

フィットネス業界のアップルを目指す

他方、ビジネス・モデル的な観点から見ると、ぺロトンは「エアロバイク」のようなハードウエアのメーカーでもあり、そこに「フィットネス教室のストリーミング配信」というソフトを提供するサービス業者でもある。

このため同社は自らを「フィットネス業界のアップル」と呼んでいる。これは言うまでもなく、「アイフォーン(ハード)」と「アップストア(ソフト)」の両輪で稼ぐアップルに自らを喩えてのことだ。

ただし同社が事業を開始した当初、彼らを取り巻く投資家たちの中には懐疑的な目で見る者も少なくなかった。理由の一つには、ぺロトンのエアロバイクがかなり高額であるため、それを購入する個人ユーザーは比較的裕福な消費者に限定されると見られたことだ。

もう一つの理由は、マシンを購入する際、「試しに乗ってみたい」と思うユーザーのために、そうした試乗体験を提供するショー・ルームを全米各地に設置する必要に迫られたことだ。これには多額の資金がかかるため、創業間もないベンチャー企業にはかなりの負担となる。