東京医大不正入試問題「知らんぷり経営陣」のフザけた実態

「責任は前理事長と学長にある」と…
伊藤 博敏 プロフィール

寄付と補助金

その結果、17年度入試では、45点加算から8点加算までの13名が、18年度入試では49点加算から10点加算までの6名が、不正な得点調整の恩恵に与っていた。

18年度のなかの10点加算が、佐野前局長の息子である。

 

不正は長年の構造であり、佐野前局長の息子は、そこにはめ込まれただけである。

たまたま職務権限のある官僚だから事件になっただけで、「私大だから許される」という意識が一般的。だから、事件となって以降も、「調整は必要悪」「女性は3人に1人でいい」という東京医大関係者の声がマスメディアで伝えられた。

東京医大は、16年に創立100周年を迎えるということで、それに合わせて新病院を建設することになったが、その工事発注の過程に不正があるということで、警視庁や東京地検特捜部の捜査対象となったことがあり、私は、本サイトで伝えた(『東京医大と大成建設の450億円新病院建設工事疑惑は、なぜ不起訴で終結したのか』)。

今回の贈収賄事件は、その時、検察が構築した人脈からもたらされたものだが、記念事業450億円のうちの50億円を寄付金で賄おうとしているように、同窓会を中心とした寄付に頼る経営形態は創立以来、同じである。

同様に、3150億円の私学助成金(18年度)を持つ文科省の顔色をうかがいつつ、与えられた補助金で一息つくという構図は変わらない。

19人の不正加算の大半が同窓会OBの子弟で、そこに文科省官僚の息子が含まれていたのは、そうした構図の産物であり、東京医大の23億円の補助金のなかには、ブランディング事業の3500万円が含まれていた。

また、13年には8000万円(3年分)の女性研究者研究活動支援事業に選ばれており、入試で見せた女性蔑視からはブラックジョークでしかないが、要は、もらえるものはOBからも国からもなんでももらう。そこに躊躇はなく、そのために利用する最大の武器が入試である。

東京医大は、創立以来、その構図のなかで存在し、経営陣も教職員も、周知のハズである。それを自覚し認めたうえで、改革に着手すべきであり、「私は知らなかった。責任は前理事長と学長にある」と、逃げるような経営陣では、再生は覚束ないし、また同じ過ちを繰り返すだろう。