東京医大不正入試問題「知らんぷり経営陣」のフザけた実態

「責任は前理事長と学長にある」と…
伊藤 博敏 プロフィール

行岡氏は、「噂レベルでも裏口入試の話は聞いていなかったのか」と、問われて「知らなかった」と、答えた。宮沢氏は、事件の2日後、「こんなものがあります」と、事務方から2次試験(小論文と面接)の「属性による得点調整表(現役から2浪までの男子が20点、3浪男子が10点、4浪以上の男子と女子が0点)」を見せられ、初めて調整の事実を知ったという。

写真左から行岡氏、宮澤氏

2人がウソをついているとはいわない。

ただ、私立医大の裏口入学は繰り返され、その事実が発覚、報じられたのは一度や二度ではない。

「女性に厳しい医大」の存在も、受験生の間では日常の話題であり、その表面化を「驚愕して受け止めた」というのは、「見て見ぬふりをしていた」に等しい。

 

不正を可能にする入試制度のカラクリ

東京医大の入試疑惑自体、過去に報じられている。

調査委は、10年前の8月、『サンデー毎日』が、「前代未聞『学長』不在が2年続いている名門東京医大に『入試疑惑』で大揺れ」というタイトルの記事が掲載され、そこでは「不正を可能にする入試制度のカラクリ」が描かれていたという。

1次(筆記試験)と2次の試験の配分は1対1で、しかも2次の点数は教授会にも非公表。いくらでも調整が可能な制度であるとして文科省が問題視。それを受けて東京医大は、08年11月、「入試試験検討委員会」を設置、1次、2次とも点数などの情報を開示、1対1の配分を見直し、同窓会長、理事長、理事、評議員などの不正な介入が禁じられた。

「不正を可能にする入試制度」は、1996年頃からあったとされるが、それはヒヤリングを行った77歳の臼井前理事長が、入試委員会のメンバーだった頃の記憶に基づいており、それ以前から調整が行われていた可能性は十分にある。

しかも、10年前の制度改革は「絵に描いた餅」だった。

改革の結果、潤沢な献金先である同窓会OBの子弟を合格させにくくなってしまったことから、2次で点数調整を行うようになった。だが、これも複数の採点者が関わる2次だけでは、確実な合格は見込めないということで、1次の素点に不正加算した成績表を作成、入試委員会に提出するようになった。