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毎年平均「2.7個上陸」台風の発達について予報が外れがちな理由

気象庁が導入した「新制度」とは

日本に近づく台風は平均で毎年11.4個。そのうち2.7個が上陸する。

気象衛星をはじめとする観測技術の進歩で、台風の発生は、まだ日本からはるか遠くに離れている時点で分かる。

しかし、それが日本に近づくのか、どれくらい強く発達するのかという将来の姿は、コンピュータ・シミュレーションなどで予測するしかない。

気象庁はいま、台風の発達強度をより正確に予測するため、新しい「台風強度予報ガイダンス」を作成して実際の台風予報に生かす準備を進めている。

シミュレーションだけでは正確な予報はできない

気象庁が発表している日々の天気予報の基礎になるのは、地球全体の大気の状態を計算する「数値予報モデル」だ。

数値予報モデルは、現在の気温や風などのデータを出発点にして将来の大気の状態をコンピューターで計算するための数式の集まり。地球全体の表面を1辺が20キロメートルのマス目で覆い、高度による状態の変化も考慮しながら1日に4回、計算している。

ただし、計算結果として出てくるのは、膨大な数のマス目ごとに得られた気温や風などの数値だ。そこには、たとえば降水確率、あるいは晴れるか曇るかといった関心の高い情報は、直接には示されていない。

それに、マス目は1辺が20キロメートルなので、より狭い地域を予報する数値も出てこない。

さらに、数値モデルには、たとえば「ある場所の気温がいつも高めに予想されてしまう」というような特有のくせがある。

こうした数値モデルの予測結果を予報官が修正し、天気予報として発表する。

その際に役に立つのが、「ガイダンス」とよばれる資料だ。

「予報モデルがこのような数値をはじき出したときは、この地域では晴れになる」「この場所では、予報モデルで予測した風向きが北風のとき、細かい地形の影響で西風になる」といった具合に、数値予報モデルの計算結果を現実に合わせるための換算表のようなものだ。

台風の強度を高い精度で予報する

気象庁はいま、台風の強度を予測するための新しいガイダンスの導入を進めている。予報課の石原洋(いしはらひろし)予報官によると、台風の新ガイダンスはこれまでのガイダンスとはまったく違うという。

旧ガイダンスでは、台風の位置などから発達強度を経験的に予測していた。「この位置にある台風は、これくらい発達するものだ」という考え方であり、数値予報モデルの計算結果は使われていない。

これを、他のガイダンスと同様に、予報モデルの計算にもとづくガイダンスに改める。