AI時代には「高学歴・一流企業・正社員」ほど大量失業するワケ

終身雇用は終わる、君は生き残れるか
松崎 隆司 プロフィール

コンビニ店員や介護職員こそが生き残る

しかし、それだけではない。

「これから人に求められる仕事というのは、AIのできないことをいかにやっていくかということです。証券会社は、AIトレーディングを積極的に導入しています。AIトレーディングは、人が一日数十件しか受けられないような注文を何万件も受けることができる。しかも、人のように疲れたり判断ミスをしたりすることもない。

しかし、トレーディングはあらかじめ設定された一定の条件の下で行われているから、政治情勢の変化などその条件そのものが大きく変わるような場合には対応できない。やはりそんなところには、人の判断が必要になります」(岡田氏)

 

「AIが完ぺきではない」と言うのは、生命保険会社の幹部だ。

「うちでは保険の審査などでAIを活用していますが、100%完璧であるわけではない。せいぜい90%ぐらいです。しかし審査は95%以上の精度で行わなければならないので、人によるダブルチェックはどうしても必要です。またAIのデータベースは人が作ってきたビックデータ。そのデータにも穴があり、その穴を埋めてAIを教育していくのも人間です」

AIにとって代わられるだろうといわれているスーパーやコンビニの店員、介護職員にも、実は大きな存在価値があることに改めて気づかされる。

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「確かに棚卸作業やレジ打ちなどの仕事は、AIやロボットを活用すれば無人化ができるでしょう。しかし、フェース・トゥ・フェースでお客さんに商品を説明したり、料理の相談に乗ったりするような仕事は人の方がうまくやれる

また介護職員も力仕事はロボットなどがやってくれるようになりますが、患者に寄り添い、親身になって話を聞き、リハビリへの意欲を高めさせるという仕事は人しかできません。人間にしかできないこと、人間らしさというのが、AI時代の新しいキーワードになるのではないでしょうか」(岡田氏)

しかし、皮肉な話だが現在政府の進めている「働き方改革」では、「AIやロボット化が雇用に与える影響については議論してきてはいない」(厚生労働省労働政策担当参事官室)。そんな近未来の現実とはかけ離れたところでの議論しかしてこなかった日本に、どんなツケが回ってくるのか。

少なくとも、一流大学を出て一流企業の正社員になればあとは会社が面倒見てくれる、という時代は終わったようだ。