# 日本経済

デフレ大国ニッポンで「インフレに苦しむ老人」という残酷な現実

知られざる「物価格差」の正体
白波瀬 康雄 プロフィール

生鮮食品を買う老人、外食で済ます若者の大きな差

次に「品目選択要因」を見ていこう。さきほどと同じく「食料」「交通・通信」に加えて、「住居」が格差を生む要因になっていることがわかる。

 

「食料」について各品目を検証すると、「生鮮食品」に占める支出の割合は60歳以上は約21%、39歳以下で約11%。毎日のようにスーパーに行く人なら野菜や魚が、この数年で特に値上がりしていることをご存じだろう。実際、生鮮品の物価上昇率は18.3%とかなり高く、その生鮮食品を多く購入している高齢者は物価上昇をモロに受けているかたちだ。

一方、外食は「食料」の中でも物価上昇率が5.8%と低い。60歳以上では外食への支出は約12%に過ぎず、39歳以下の約26%の半分以下。これがさらに格差を広げる要因となっている。

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「持ち家」ほど苦しいという実態

「住居」では、持ち家が多い高齢者ほど苦しいという結果になっている。

なぜなら、持ち家は住宅リフォームを含む修繕・維持への支出が必要で、そのリフォームなどの物価上昇率は6.1%に達しているから。一方、若者は賃貸住宅で暮らすことが多いが、その家賃の物価上昇率はマイナスになっている。

「交通・通信」でも同じような傾向が見て取れる。たとえば電話通信料のうち、固定電話は物価が5%上昇したのに対して、携帯電話など移動電話通信料はマイナス6.9%と大幅に下落した。高齢者は自宅の電話を使う人が多く、移動電話通信料への支出は60歳以上で約16%に過ぎないのに対して、39歳以下は約28%に上る。スマホユーザーの若者は、通信費の価格下落の恩恵を享受しているわけだ。