写真提供:たねや

たねや大繁盛の秘訣は「数字ばっかり見るな」

現代の近江商人の経営哲学とは

菓子屋が観光客1位に

いま滋賀県でもっとも人の集まる場所がどこだかご存じでしょうか?

たねやグループのフラッグシップ店「ラ コリーナ近江八幡」です。

ほんの数年前まで、滋賀県の観光の中心地は彦根や長浜で、近江八幡は「年間80万人いったら御の字や」と言われたものです。よく時代劇の撮影で使われる八幡堀など観光資源はあるのですが、決して観光客が多いとは言えなかった。

ところが、2015年に「ラ コリーナ近江八幡」がオープンすると、宣伝も観光バスの誘致もしていないのに、訪問者がどんどん増えていきます。2017年にラ コリーナを訪れた人は、なんと285万人。なぜか菓子屋の店舗が、滋賀県一の観光スポットになってしまったのです。

さすがにこの数字には、私たちも驚いています。オープン前は「こんなに駐車場あっても埋まらへんやろ。半分は閉めとけ」なんて言っていたのに、駐車場を増設して、自家用車500台、観光バス15台体制にしても溢れてしまう。

週末になると、入りきれない車が施設前の道路で長い行列を作る事態となり、「たねや渋滞」なる不名誉な言葉まで生まれてしまいました(周辺住民の皆様にご迷惑をおかけしている状況ですが、道路の問題は私たちで解決できないのです。臨時駐車場を増やすなどの努力はしていますが……)。

近く入場者は300万人を突破するでしょうが、こうなるとテーマパーク第3位のハウステンボスと変わりません。ところが、ラ コリーナには派手なアトラクションなど存在しないのです。ある意味、何もない。もちろん店舗は少しありますが、甲子園球場3つぶんという広大な敷地の大半は自然です。

では、どうしてそんな場所に人が押しかけるのでしょうか?