官僚が親を入れたがる特養の「知られざる不公平」

特養に入りづらい人たちの理由
長岡 美代

「特養=安い」は昔の話

筆者と月刊誌『中央公論』が全国でも人口の多い120自治体を対象に、今年3月末時点で、中重度の「要介護3~5」の認定者に特養や民間の老人ホーム全体のベッド数がどれだけ供給されているか調査したところ、なんと平均93%だった。

つまり、希望すれば、ほぼどこかの施設に入れる状態だ。国は在宅介護を推進しているはずなのに、実態は施設が中心となっている。

全国トップの旭川市は認定者の約1.59倍ものベッドがあった。政令指定都市と中核市のうち、認定者を上回るベッド数が供給されていたのは4割超にも上る。さいたま市は約1.27倍だった。

これでは特養に定員割れが起きるのも当たり前だろう。

 

埼玉県内の施設では入居者を探すため、隣接する東京23区内の病院や地域包括支援センターなどに営業に出向いているという。県は1床あたり300万円の補助金を投じて特養を整備しているが、都民のために県民の税金が使われているようなものだ。

埼玉県議会は7月初旬、新設する施設に介護職員の採用計画を提出させるなどの条件を付けて特養の増床計画の凍結を解除したが、県の最新調査によると、空床は648床(2018年4月に中核市となった川口市を含む)と前回調査よりも2割程度増えた。このままでは状況がさらに悪化しかねない。

その反面、低所得者が入りづらくなっている実態は見過ごせない。「特養=安い」は昔の話で、いまは月約14万~15万円かかるのが一般的だ。入居一時金こそいらないが、民間の老人ホームと変わらなくなっている。なかには月20万円程度かかる例もあるくらいだ。

なぜなのか。