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eスポーツ転身アナが熱く語る「実況」と「解説」の違い

甲子園中継からゲーム実況の世界へ
テレビ局アナウンサーの立場を捨て、単身eスポーツの世界へ飛び込んだ平岩康佑アナ。長年、高校野球中継を担当してきたアナウンサーは、なぜ新天地に「ゲーム実況」を選んだのか。2024年パリ五輪の正式種目に採用される可能性も高まり、ますます注目を集めるeスポーツの魅力と課題を語る。

ほとんどの人に反対された

およそ2ヵ月前、7年間お世話になった朝日放送テレビを退社し、eスポーツに特化した実況者の事務所、株式会社ODYSSEY(以下:オデッセイ)を設立した。

毎年、全試合中継している夏の高校野球も、今年は栄えある第100回大会。局としても集大成となる大会を前にしての退社だった。

退社の意向を伝えたとき、ほとんどの人に反対された。無理もない、経済誌の年収ランキングではトップ3常連の会社だった。しかも、新天地となるのは「テレビゲームの世界」。話す相手はみな怪訝そうな表情をしていた。

なぜ私が放送局のアナウンサーという立場を捨ててまで、eスポーツの世界へ足を踏み入れたのか。その理由と、プロの喋り手として、今後の日本のeスポーツ界にどう貢献していけるのかについてお話させていただきたい。

 

任天堂やSONYを生んだ日本はeスポーツ後進国

eスポーツに馴染みのない方にとっては、意外と思われるかもしれないが、任天堂やSONYが生まれたゲーム大国・日本は、eスポーツの世界では大きく出遅れている。

ここ1年でようやく、「CyberZ」(eスポーツイベント運営会社)が主催する大会『RAGE』など、観客動員数が1万人以上という規模のeスポーツ大会が現れはじめ、年末には賞金が一億円を超える大会も国内で開催される。

また、日本野球機構(NPB)は今年7月に、KONAMIと共同でeスポーツリーグ「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ」を開催すると発表。Jリーグに続き、プロ野球もeスポーツに参入を果たした。

しかし、この程度であれば、アメリカや韓国が5年以上前に通ってきた道。いま、世界では賞金総額が20億円にのぼる大会もあり、イギリスの名門オックスフォード大学にもeスポーツコースが開講予定である。加えて、2024年パリ五輪でeスポーツが正式種目になるかもしれないというニュースは多くの方が知っているだろう。

eスポーツ実況をする平岩アナ

世界と大きな差があるものの、ようやく日本でも盛り上がりを見せてきたeスポーツ。今後の発展を考えれば、いまが一番重要な時期だといえる。そこに自分が関われないことが何より嫌だった。それが転身を決める大きな後押しとなった。

もう一つの理由は、eスポーツ業界に「喋りのプロ」が存在しなかったことだ。

これまでのeスポーツ実況者は、ゲーム配信者やプロゲーマー、ゲームライター出身の方々が多い。彼らは「ゲームのプロ」であるが、アナウンサーとして訓練された「喋りのプロ」ではない。

日本のeスポーツイベント界においても、「喋りのプロ」の重要性は各方面から上がっていたものの、「フリーアナウンサー市場にゲームを深く理解している人がいない」と運営側は語っていた。

「私にだったらその役目を果たせるのではないか」

幼少期からゲームに入れ込み、学生時代、任天堂に内々定まで頂いていた私は、最高のブルーオーシャンを見つけ、先行者優位を取るためにためらいなく飛び込んだ。