田中圭一氏(左)/いさやまもとこ氏 Photo by 神谷美寛

「美人病」とうつ病を患った二人の漫画家が赤裸々に語る病気のこと

漫画にしないで死ねるかという話
ベストセラー『うつヌケ』の著者・田中圭一と、バセドウ病の闘病マンガ『あたい、美人病になりました!』の著者・いさやまもとこが、これは「描かずに死ねるか!」と思ったネタを本人たちが痛快対談。さらに第1回目では、田中圭一がうつ期間中にもうひとつ病気にかかっていたと初告白。病気になって人生変わった~ギャグ漫画家の赤裸々対談!

初告白『うつヌケ』大ヒット中に病が襲ってきた

いさやまもとこ(以下、いさやま): 10年ぶり~。あれ、顔ちがう~。『うつヌケ』が売れてウェブとかで写真見てジジイになったわって思ってたんですよ。

田中圭一(以下、田中): あ、やっぱり!? 2017年の年明けに出した『うつヌケ』が注目されて取材をいろいろ受けたんだけど、そのときに撮影した写真が、うつヌケしたと思えない顔だったんですよ。ものすごく老けた顔。体も本を出した直後ぐったり疲れた感じになって、これが甲状腺機能低下症という病気だったんです。

いさやま: 田中さん、うつがヌケてよかったと思っていたんですが、私と同じ甲状腺の病気にかかっていたんだ!

甲状腺から出るホルモン量が減ると信じられないくらい気力がなくなるし、体もむくんだり乾燥したり冷えたりって、全身に影響が出ちゃうんですよね。

反対にホルモンの出が多くなる亢進症だと、老けた顔の反対で色艶よくなって、瘦せるし目もなぜか大きくきりっとしたりして、だから一部で「美人病」と呼ばれたりするんですよ。

ただ、症状はそんないいことばかりのはずがなくて、更年期障害の何倍もひどいというか。体は常に全力疾走状態。血圧が上がったり24時間心臓がバクバクするし、手足もブルブル震えちゃって。ホルモンの影響は壮絶。

ミュージシャンやスポーツ選手も、バセドウ病にかかったことを公表している人がいますよね。200人にひとりくらいはかかるんですよ。

 

田中: 間が悪いことに、『うつヌケ』の主人公は自分の自画像ということになっていて、イケメンに描いてあるじゃないですか。それを読んだ人が、くたびれたじいちゃんの写真を見るわけですよね。詐欺だとか言われて(笑)。

いさやま: 今は元に戻ってきてる。

田中: 薬でコントロールできるので、今はいい感じに戻ってきたんですよ。ただこの病気は一生上げ下げがあるから。

いさやま: 私も今回、うつのようになってうつの大変さを初めて実感しました。なんか生物失格というか、こんなになんにもできなくなるとは思わなかった。

田中: いさやまさんは、バセドウ病で甲状腺の機能が亢進するのと低下するのと、目が飛びだすのと、みんな経験したんですね。

いさやま: そうだったんですよ。ところで田中さんはバセドウ病というのでいいの?

田中: 似てるけれど、僕のは甲状腺機能亢進症とその反対の低下症という病名です。甲状腺機能亢進症の大半がバセドウ病だけどイコールじゃないんですよ。

最初、1996年かな。ある日突然握ったペンが意味不明に震えて、線が描けない。なんか脳の障害じゃないかと思ってすごい怖かった。医者に行ったら紙の上に手を載せられて、手がブルブルって震えたら「ああこれは甲状腺機能亢進症だよ」って。血液検査の結果が出るまでもなく診断されて、すぐ薬での治療が始まりました。