開催目前!阿波おどり・踊り手たちが怒りの「ボイコット宣言」

市長と観光協会の対立の果てに
小川 匡則 プロフィール

チケットが全然売れない

市長サイドはさらなる暴挙に出る。6月14日、伝統ある総おどりを中止することを表明したのだ。総おどりは4つある演舞場のうちの1つ、南内町演舞場で行われる。

例年そこに観光客が集中していたため、今年は踊り子を4つの演舞場に均等に配置し、全体として売り上げを伸ばしたい、というのが遠藤市長の言い分だ。阿波おどり振興協会の山田実理事長が経緯を説明する。

「こちらから、事務方を通じて『今年の阿波おどりの日程、準備が遅れているのでどうするのか』と何度も問い合わせをしていました。しかし、新しい実行委員会は『まだ決まっていない』と言うばかり。

そして、我々に事前の相談もなく突然、総おどりは中止だと宣告してきたのです。おまけに7月4日には前夜祭も信頼関係がないから、という理由で阿波おどり振興協会は出演させないという。

また、協会の事務所は徳島市役所の観光課にありましたが、これも7月いっぱいで引き払えと言われています」

振興協会所属の無双連(踊り子グループ)で連長を務める岸大輔氏はこう憤る。

「遠藤市長は阿波おどりに対するリスペクトが全くない。伝統を守ろうとか、発展させようという気持ちが皆無で、カネのことしか言わない。我々のことを駒としか思っていないのでしょう」

 

踊り子からは「利用されて踊るのは嫌。こんな市長が主催する阿波おどりでは踊りたくない」と参加をボイコットする声まで上がっている。

しかし、踊り子と総おどりがあってこその阿波おどり。こうした事態が明らかになってから、チケットを購入した客から払い戻しをしろというクレームも相次いでいるという。

「今年の阿波おどりはかつてないほど空席だらけの寂しい祭りになりそうです。このままでは内容的にも興行的にも過去最低の大会になってしまいます」(前出・山田氏)

この惨状には徳島新聞社内にも動揺が広がっている。

「チケットの売れ行きは前年の同時期と比べて半分にも満たない。振興協会が出ないのならチケットを払い戻せというクレームがうちにもたくさんきている。幹部はこんなに非難されるとは思わなかったと嘆いています」(徳島新聞社員)

しかし、こうした一連の騒動で最も大きな被害を被っているのは阿波おどりを楽しみにしてきた観光客、地域の人々である。

「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」という威勢の良い掛け声とともに街を練り歩く阿波おどり。しかし、騒動に踊らされるほうはたまったものではない。

「週刊現代」2018年8月11日号より