インドとパキスタンの国境で毎日やってる「ヤバい儀式」を見に行こう

世界中に存在する旅の穴場
下川 裕治, 室橋 裕和 プロフィール

室橋 ありがとうございます。シニアの方は旅をするうえで、真摯というか、どこか純情というか、真面目なところがあるのかなと思います。あんまりこういうことは言いたくはないんですけれど、若い旅行者たちと話していると、旅の目的が就職活動だということが往々にしてある。世界一周したことを面接官に話したいとか。

バンコクに僕が住んでいるときに、大学生が3人立て続けに来たんですね。その頃、海外で働いている起業した日本人に話を聞いて、就職活動の面接のときに話すというブームがあったんですよ。

そのことをあとから知ってちょっと驚いたというか、「使われたな……」と思ったんですけれど。そういう生きるうまさというか、たくましさというか、合理的さみたいなものが若い人たちにはあるのかもしれない。

それに比べるとシニアはけっこう純情に旅をしているような気はします。そんな純情なシニアの方向けに、下川さんのご意見はいかがですか?

古都バラナシ(インド)とガンジス河(写真:同上)

ウラジオストクが熱い

下川 いやいや、純情かなぁ(笑)。確かに、50代以上のほうが、自分で旅をしようとしていますけれど。やっぱり今の20代って、すぐ誰かに聞く、すぐネットをつなごうとするような傾向があってね。

それは悪いことではないかもしれないけれども、現地で相談を受ける人がよく言うのは、「いまの若い人たちって、すごくトラブルが多いよね」。というのは、現地へ着いたらネットをつなげば全部わかると思って下調べをしない。いざネットで調べると、膨大な情報が出て来て、結局正しい情報に辿り着けないことになるんです。

 

たとえば、バンコクから市内まで行く方法をネットをつないで調べると沢山出てきて、何が正しいのかわからないけど、いざ方法を決めて乗り物に乗ったら、「こんなにお金を取られました」と不満を言ってくる。その一方でシニアの人が、「僕はちゃんと下調べしたからな」としたり顔をしてね(笑)。

その点では、僕はシニアの人のほうが真面目だと思います。僕は同じ年代だから感じるのかもしれないけれども、結局、シニアの人のやり方のほうが、昔はネットも何もなかったから、無骨だったんだろうなと思いますね。ラクをしようとはあまり考えない、という感じはあります。

シニアの人の中には、汗水垂らしてやったものじゃないと、評価はできないと仰る方もいると思うんですね。僕はどちらかというと、シニアの人のそういう無骨さのようなものに与します。

僕、アジアのことを原稿に書きながら、こんなことを言っていいのかなと思うけど、シニアの人はアジアに行かないほうがいいかもしれないよ、と思うときがある。最近行った国の中で、シニアの人がきっと喜ぶはずだっていうのは、ロシア

室橋 下川さんの口から、ロシアですか!

下川 たとえば、シベリアって自分の命を守ってくれるのは日本の車です。マイナス30度、40度になって車が故障したらアウトだけど、そのときトヨタ車のすごさをシベリアの人たちはよく感じている。日本人がすごいと思ってるのか、トヨタがすごいと思ってるのかよくわからないけど、「日本はすごいな」と言われる国は、最近回った国の中では、シベリアぐらいしかないですね。

中国人とロシア人が一番接した時代は、モンゴルを清が支配したときです。あそこでロシア人と中国人が商売したわけですよ。結果として、ロシア人はこれでもかと騙され続ける。中国人はロシア語をどんどん覚えて、交渉も全部ロシア語でやるんですよね。だから、ロシア人の裏話も全部わかって、向こうがいくらの値段を付けたからこっちはいくらで出すみたいなことが、すっかりできてるんです。

それをされたら、ロシア人は勝負にならないですよ。彼らは、ほんとに無骨の人だと思う。そういう人たちにシニアはなんとなく親近感を覚えるし、「この人たち、いい人だな」と思っちゃう。誤解かもしれないけれども。