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日本で100年以上前から横行していた「入試不正」驚愕の実態

150名中100名が不正のケースも…

東京医科大学の入試不正問題が話題になっている。もっとも公正であるべき領域で生じた不祥事であり、その衝撃は大きい。

入試不正自体は古くから存在している。中国の科挙において様々なカンニングや不正が試みられたことは知られているだろう。入試不正の方法は、監視体制とともに発展してきたのである。

 

替え玉は「落ちるため」の技術だった

替え玉は入試不正の古典的手法の1つだが、かつては「落ちるため」の技術でもあった。

1877年、信州のある農家では、次男の徴兵検査に、長男を替え玉として送り出した。長男は背が低かったため、検査で落とされると見込んでのことだ。まんまと検査は逃れたが、まもなく露見し、徴兵ではなく、懲役を課されることになってしまった。

学歴が立身出世を約束する社会になるにつれ、替え玉は「受かるため」の技術として重宝されるようになる。1890年、替え玉受験の横行が報道されている(読売新聞1月15日)。官立学校でも行われていたが、特に私学では「驚くべき流行」を見せていた。

当然、学生の質は下がる。ある私学法律学校での出来事だが、ある日、替え玉で合格した学生のところを正規受験した学生が訪れた。机の上に本があり、ふと手にとってみると、表紙によく分からない文字が書いてある。

いったい何が書いてあるのかと尋ねると、替え玉学生は「ローマ字で自分の名を書いたものだ」と答えた。しかし、それにしても読めないので、本を返そうと上下反転させると、ようやく読めるようになった。

おそらく、お手本で書いてもらったローマ字の名前を反対向きにして練習してしまったのだ。正規生は「笑いを忍びて」別れたというが、なかなかに牧歌的な時代である。

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徴兵逃れでもそうであるが、替え玉が流行したのは、ある人を他ならぬその人であると特定する技術が低かったためだろう。

重い窃盗で逮捕された者が、留置所で、同じく窃盗で逮捕されたが罪の軽い者を買収し、犯罪を交換するといった事件も起きているのである。