画/おおさわゆう

私だけですか…?中学受験理科の模範解答に納得がいかない!

覆面ドクターのないしょ話 第27話
前回、小学校算数の設問のリアリティのなさに憤慨した次郎先生ですが、今回は、理科。医者はある意味科学者であるわけですが、理科で教えられた理論については、理屈ではそうかもしれないけど、テストの答えはそう書かなきゃいけないかもしれないけど、実際そうは感じないんだよなあと納得がいかないことが多かったようで……。

ウソだっ!? 私は反射的にそう思った

前回、中学受験を控えたお子様をお持ちの読者の皆様にエールをお送りしました。今回も中学受験に関する私の苦悩の日々をお話しいたします。

読者の皆様、質問です。

「ごはん(米)を口に入れて噛み続けたら、味はどうなりますか?」

 

正解は「甘くなる」なのですが……。

これは、私が小学生のとき、大手進学塾の授業で経験したエピソードだ。理科の先生がクラスの生徒たちに向かって、上の質問をした。その答えを聞いたとき、私は思わずこう口走ってしまった。

「えっ、ウソ!? 甘くなるの!?」

同様のことがその後もあった。

中学2年のある夏の日、私は校庭の草取りをしていた。クラスのみんなとブツブツ文句を言いながら草を根っこから引き抜いた。

「暑すぎる~っ!」
「面倒くせぇ~っ!」

すると理科の先生がこう言った。

「根っこから引き抜くなんて、おまえら、わかってねぇなぁ。草は茎さえ切ればいいんだよ」

つまり地面を掘らずに、鎌を地面に平行に滑らせて、草を刈ればいいということだ。
私とクラスメートたちは思わず叫んだ。

「えっ!? 根っこは残してもいいんですか?」

するといかにも理科の先生らしい答えが返ってきた。

「葉っぱがなくなれば、栄養不足で草は枯れる。これが光合成の理論だよ」

だが、クラスメートたちは内心こう思っていたはずだ。

「先生が言ってるのはウソだ。生命力の強い雑草なら根からまた草が生えてくるのに……。でも、まぁいいや。草取りの手間が省けるし……」

そう思って言われた通り、草の茎だけ刈り取った。

先日、米国の男性が、ラウンドアップという除草剤を使用したせいで末期がんになったとして、農薬大手のモンサント社を訴えていた裁判で、同社に対して男性に約320億円の支払いを命じる判決が出た。日本でも販売されているラウンドアップのCMのキャッチフレーズは「雑草を根まで枯らします!」というものだった。先生の理屈が正しければ、ラウンドアップは誰にも必要とされず、こんな不幸な出来事は起こらなかったはずだ。

今度は、高校1年のとき、化学の先生がこう言った。

「コーヒーに砂糖を溶かすには、皆さんどうしますか?」
「かき混ぜまーす(全員)」
「そんな必要はないんです」
「どうしてですかー?」
「水と砂糖の分子同士が衝突し合って、かき混ぜなくても自然に混ざるんです。これが拡散の理論です」

ウソだっ!? 私は反射的にそう思った。

コーヒーに砂糖を入れて、まったくかき混ぜないで飲む人をみたことはない(photo by istock)

読者の皆様、コーヒーを飲んだとき、カップの底に砂糖の塊が少し残っていたという経験をお持ちではないだろうか? 科学の理論通りに砂糖は溶けない。

私は、こういう風に理屈でものを考える人が大変苦手である。そういう私も根っからの理系人間なのだが、体は理系なのに、心は文系なのだ。理屈よりも自分の感覚を信じたいのだ。前述のような経験をする度に、私は理科の先生の言うことをはなから信じることはできなかった。