大阪市が目指す教育改革は「最先端から2周遅れ」の間違った改革だ

「政令都市最下位」の焦りもわかるが…
畠山 勝太 プロフィール

日本の教育システムが崩壊する中で…

学力テストに基づく教員の人事評価は、21世紀の現在において通用する代物ではなく、そもそも学力向上にとっても問題があるという、2つの問題を抱えている点で2周遅れの教育政策議論であるし、教員の人事評価制度そのものとしても2周遅れの政策議論である。

これまで日本の教育システムは、比較的均一な人種構成、比較的均一な教授言語、塾や通信教育に代表される旺盛な私的教育投資、現場の踏ん張り、平等な公教育投資などに支えられ、国際学力調査では常にトップクラスを維持してきた。

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しかし、政府の失策から少子高齢化を招き、移民の受け入れなしには社会を維持できない状況に突入しつつある。また、日本の教員の過労問題も近年注目を集めてきているように、これ以上の現場の踏ん張りを期待することも難しい。

つまり、日本の教育システムを支えていた前提条件が大きく崩れ去ろうとしている中で、これをカバーするための科学としての教育政策の重要性が高まってきている。

 

教育政策の議論の最先端から2周遅れたものである大阪市が導入しようとしている制度は、たしかに個別の事例に過ぎない。

しかし、これは因果推論やインパクト評価に基づく教育政策議論ができる人材が、日本の教育学部にも、教育官僚にもいない、そして教育を専門としない人物が専門知を無視して教育政策に乗り出してくるという日本の現状を象徴する問題だと私は考える。

高い人的資本による大国日本を維持するためにも、今回の大阪市の案件をただのバカげた一事例として済ますことなく、国としてより良い教育政策を目指す契機とすべきではないだろうか。