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ドイツとギリシャが教える「ペット殺処分がなくならない日本」の異常

日本にはその「仕組み」がない

日本ではなぜ多くの犬猫が殺され続けるのか

年々、減少してきてはいるものの、日本では毎年、数万匹単位の犬猫が殺処分されている。日本人がこれまでにペットとして“大量生産”し、“不良品”や“売れ残り”として手をかけてきた犬猫の数を考えると背筋が凍る思いがする。なぜ日本では多くの犬猫が殺され続けているのだろうか。

こうした疑問に答えるために、私は天理大学人間学部の浅川千尋教授とともに、海外との比較を通して問題点を探り、論点をまとめた本(『動物保護入門』)を上梓した。私たちが比較対象とした海外の事例は、体系的な動物保護法や理想的な動物保護施設を歴史的に築いてきた「動物保護先進国」ドイツと、2004年のアテネ五輪前の野犬保護成功で急速に制度を変革する「動物保護新興国」ギリシャ。

日本では動物保護においてよく参考にされるドイツ、一方で、あまり知られていないギリシャの実態を見て、調べて、知ったことで、多くのヒントを得ることができたので、両国の動物保護の詳細を紹介したい。

 

ドイツの動物保護施設のすごい実態

そもそも、ドイツが動物保護先進国と呼ばれるのかなぜか。そこには主にふたつの理由がある。

ひとつ目は、ティアハイムと呼ばれる理想的な動物保護施設の存在だ。200年以上前、アルバート・クナップ牧師が、捨てられたり、虐待されたりしていた動物を保護する施設をつくった。これがティアハイムの原型だ。現在、ティアハイムは全国に500ヵ所以上もあり、犬猫をはじめ、様々な動物たちが、穏やかに暮らす。

ベルリン、ミュンヘン、ハンブルグなどのティアハイムでは、犬は1頭で十分な広さのある個室を与えられている。ドッグランが併設され、運動不足にはならない。猫は一部屋に3、4匹で生活しているところが多いが、ネコタワーなどが設置された大きな共同部屋で遊んだり、日光浴をしたりと、悠然と過ごしている。

ベルリン・ティアハイムの猫ハウスの様子

多くのスタッフやボランティアが世話、散歩、しつけ、怪我の治療なども行う。犬や猫を飼いたいと考える多くの市民が訪れ、開放日に十分、相性を確かめたうえで、大半の犬猫がもらわれていく。世話がきちんとできるか、快適な環境を用意できるかなど、飼い主のチェックは厳しく行われる。飼い主が見つからない動物も殺されることはなく、一生その施設で暮らしていける。

さらに驚くべきことに、ティアハイムでは9割以上の動物たちが新しい飼い主を得ていく。そして「それは普通のことだ」と、広報担当者は語る。