ほったらかし投資で「貯まる人」が、「下がる投信」を買い続ける理由

怖くなって途中でやめるのが最悪
福田 猛 プロフィール

下がったときほど、儲かるチャンス

このように積立投資は価格が上昇してもいいし、下落してもどちらでもいい。日本人は「投資とは安い価格で買って、高くで売る」と考えている投資家がほとんどですが、それは一度に投資をする「一括投資」の場合の原則です。

毎月コツコツと投資を続ける「積立投資」の場合には、「上がって良し、下がって良し」。このように一括投資と積立投資は投資の仕方が違うのですが、区別して投資法を変えている個人投資家はほとんどいません。

 

それにしてもなぜ、積立投資ではこのようなことが起きるのでしょうか。ここで運用の大原則を確認しましょう。

◇運用の成績=価格×量

当たり前ですよね。

一括投資の場合、買ったタイミングで量が固定される(量は増えない)ため、実質的には「成績=価格」になります。ですから価格が下落することは損する=怖い=悪いこととなるのです。

一方、積立投資は量を積み上げていく投資法です。価格は上がったり下がったりしますが、量は増えていく一方です(量が減る、ということはあり得ません)。

掛け算なので、「価格」が上がっても「量」が上がってもどちらでも成績は良くなります。シーソーみたいなもので、価格が下がっている時には量がたくさん買えるし、量があまり買えない時には価格が上がっています。ですから上がっても下がってもどちらでもいいのです。どうでしょう。価格が下落しても不安にならずに済む気がしてきたでしょうか。

確かに、「いくら量が買いこめるからといっても、相場が下がるだけでは儲からないのでは?」という質問をいただくこともあります。その通りです。しかし、経済は好不況を繰り返すのが大原則なので、下がるだけの相場というのはじつはほとんどありません(ただし、1つの企業なら倒産などがあり得るので注意してください。あくまで投資対象は広く投資するのが鉄則です)。そして、最後に少しだけでも価格が上昇すれば、トータルのリターンがプラスになることがほとんどなのです。

日本のバブルの絶頂期に積立を始めていたらどうなっていたか、という質問もよく受けます。その答えは次の図の通り。日経平均株価はいまだバブル時の高値に遠く及ばない状態ですが、積立投資であれば投資成績は「プラス」になっているのです。

日経平均株価を1990年1月から毎月1万円ずつ購入した場合(出所)ブルームバーグ

日経平均株価が下落していく過程で毎月購入できる株数が大きく増えるため、成績はプラスになるわけです。繰り返しになりますが、投資の成績=価格×量。「価格」と「量」のどちらを増やしてもいいのです。

そのうえで重要なのは、とにかく投資を長く続けることです。最悪なのは価格が下落して、成績がどんどんマイナスになるのが怖くなってやめてしまうこと。

価格が下落した際に「積立が良いと聞いたのに損している」「節税分以上に赤字になっているからやらなければよかった」といって安値で手放してしまうと、「量」を増やすことができず、積立投資のメリットをまったく享受できません。

そうではなくて、下がっている時ほどむしろ、「今は量が買い込めている時期だ」と喜んでください。積立投資の仕組みを正しく理解できていれば、下落している相場でも安心して投資を続けることができる。そして、10年後には大きな成果を手にすることができるのです。