米中貿易戦争の狭間で目が離せない「神経質な為替相場」

トランプの焦りもにじみ出て…

世界経済を見渡すと、米国経済の好調さが際立っている。FRB(連邦準備理事会)によると、米国の潜在成長率(経済の実力)は1.8%だ。それに対して、4~6月期の実質GDP成長率は4.1%だった。実力以上の経済成長は一時的なものに留まる可能性はあるものの、今すぐに米国の景気が悪化するリスクも抑えられている。

この状況を反映して、2か月半ぶりに米国の10年国債の流通利回りは3.00%台を突破した。4~6月期のアップルの業績が増益となったことなどが好感され、米国の株式市場も堅調に推移している。一方、ドル/円に関しては、やや上値が重い。日銀の金融政策への思惑に加え、貿易戦争への懸念が円キャリートレードの増加を抑えているようだ。

 

綱引き状態

米国の景気はかなり好調な状況にある。なによりも重要なことは、実質GDP成長率が前期比年率ベースで4.1%と、実力以上の水準に達したことだ。米国経済は、過熱しているといってよい。今後、成長率は4~6月期の水準を下回って推移するだろう。その中で、緩やかな景気回復のモメンタムは維持される可能性がある。

そう考える理由は、個人消費の好調さだ。米国のGDPの70%程度を個人消費が占める。4~6月期の成長率のうち、2.69ポイントは個人消費によるものである。近年、米国の非耐久財やサービスへの支出は緩やかな増加基調にある。その上で、昨年成立した法人減税(35%から21%に引き下げ)が企業の収益増加と個人の所得増加期待を高めている。個人消費の増加基調がサポートされやすい環境が整備できているといってよいだろう。

この状況下、ドルは堅調に推移してよいはずだ。しかし、7月中旬にドル/円は113円台を付けた後、上値が抑えられている。ドルの上値を抑えている要因の一つが、貿易戦争への懸念、あるいは警戒感だろう。市場参加者が抱いている懸念とは、「トランプ大統領が中国に対する関税賦課などの制裁措置を、どこまで続けるか、わからない」というものだ

この状況は、米国経済への楽観と、貿易戦争への懸念が綱引きをしているとたとえることができる。米国経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的な条件)のみに基づけば、金利上昇期待から、円キャリートレードが増えてもおかしくはない。その行動を、貿易戦争のリスク(不確実性)が阻害している。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら