総額4600億円の押し売りか…日本はイージス・アショアで損をする

日ロ関係も取り返しがつかなくなる
半田 滋 プロフィール

今回も、悪名高きFMSで「ぼったくり」

ふたつ目の問題は高額な導入費である。小野寺防衛相はイージス・アショアの価格について、当初、見込んだ1基800億円を大幅に上回る1基1340億円と発表した。導入する2基の維持・運用費などを含めると4664億円にもなるという。

これには施設の整備費やミサイル購入費は含まれておらず、総額がさらに膨らむのは必至。配備する迎撃ミサイル「SM3ブロックⅡA」の価格は未公表ながら、現在、イージス護衛艦に搭載している「SM3ブロックⅠ」の1発30億円(防衛省は未公表)を上回るのは確実とされる。

しかも調達方法は、「現代ビジネス」で何度も指摘している通り、悪名高い有償対外軍事援助(FMS)方式である。

 

FMSとは、米国の武器輸出管理法に基づき、(1)契約価格、納期は見積もりであり、米政府はこれらに拘束されない、(2)代金は前払い、(3)米政府は自国の国益により一方的に契約解除できる、という不公平な条件を提示し、受け入れる国にのみ武器を提供するというものだ。

買い手に不利な一方的な商売だが、米国製の武器が欲しい防衛省はFMS方式による導入を甘んじて受け入れている。

意外に知られていないのは、米国製のミサイル防衛システムをフルに導入しているのは世界中で日本だけという事実である。日本が導入したのは、飛来する弾道ミサイルをイージス護衛艦搭載の「SM3ブロックⅠ」で迎撃し、撃ち漏らしたら地対空迎撃ミサイル「PAC3」で対応する二段階のシステムである。

奇妙なのは、防衛省が弾道ミサイル対応のイージス護衛艦をこれまでの4隻から8隻に倍増させることを決めた後に、イージス・アショアの導入が浮上したことだ。

将来、イージス護衛艦に搭載する「SM3ブロックⅡA」は射程が広がり、日本列島(南西諸島を除く)を防衛するのに必要とされた2隻が1隻に減るにもかかわらず、さらに地上にもイージス・アショアが必要だと主張する理由がわからない。

防衛省幹部は「中国との間で尖閣諸島をめぐる問題もある中、イージス護衛艦を日本海にばかり張り付けておくわけにはいかない」と、イージス・アショアの導入により、イージス護衛艦の運用幅が広がると話す。

ここまで来ると、「弾道ミサイルは必ず、日本に飛来する」「ミサイル迎撃システムは必ず、迎撃に成功する」という「神話」が前提の防衛力整備と考えるほかない。

イージス・アショアが引き起こすのは、環境問題や財政問題ばかりではない。ロシアとの関係も含めて「費用対効果に見合わない武器は買わない」とシンプルに考えられないのだろうか。