総額4600億円の押し売りか…日本はイージス・アショアで損をする

日ロ関係も取り返しがつかなくなる
半田 滋 プロフィール

自衛隊と米軍の一体化が進む

さて日本である。ロシアは日本のイージス・アショアについても「米国がアジア地域にミサイル防衛システムを展開することは、ロシアの安全保障に直接関わる問題だ」(3月21日、ラブロフ外相)などと指摘し、懸念を表明してきた。7月31日の2プラス2の後の記者会見でもラブロフ氏は重ねて懸念を表明している。

これに対し、小野寺五典防衛相は「わが国を防衛する純粋的な防御システムだ。ロシアに脅威を与えるものではない」と説明し、理解を求めたが、実のところ、ロシアの懸念は杞憂とはいえない。

防衛省で導入を検討するイージス・アショアには、米国と自衛隊が情報を共有できる新システム「共同交戦能力(Cooperative Engagement Capability; CEC)」が搭載される見通しとなっているからである。

 

CECとは、精度の高い敵情報を共有することにより、味方全体で共同して対処する能力のこと。ミサイルなどの標的に対して、共有したデータに基づき、遠方にいる味方が迎撃できるようになる。

既存のデータ共有システムでは、自らのレーダーが探知した場合しか迎撃できなかった。米海軍で開発され、既に米軍のイージス艦やE2D早期警戒機などに搭載されている。

自衛隊と米軍がCECで結ばれると、米軍の情報に基づき、自衛隊がミサイルを迎撃する場面が出てくるようになる。またその逆も起こり得る。憲法で禁じた集団的自衛権行使に触れる可能性は高いが、すでに安倍政権は安全保障関連法で一部の集団的自衛権行使を解禁している。

安全保障関連法の施行を受けて、防衛省は7月30日に進水式を迎えた海上自衛隊のイージス護衛艦7番艦「まや」に、初めてCECを搭載した。来年進水予定の8番艦にも搭載するほか、航空自衛隊のE2Dへの搭載も検討している。

1995年に就役したイージス護衛艦「きりしま」(Photo by gettyimages)

既にCECを介して日米一体化を強める方向性は打ち出されている。当然、イージス・アショアにもCECは搭載されることになるだろう。

ロシアが懸念しているのは、まさにこの点である。