東京医大「女子差別」の衝撃〜国際比較でわかる日本のジェンダー問題

不祥事の一つで片付けてはいけない
畠山 勝太 プロフィール

もちろん、そもそも入試で差別しなくても、女子の方が男子よりも勉強ができないのだから関係ないのではないかという議論もあるだろう。

しかし、これは男女の行動特性の違いを考慮していなかったり、男女を取り巻く教育環境の違いを考慮していなかったりする議論である。

なぜなら、今回の入試で起きたような女子差別や、女子に不利なものは大学入試の前段階から存在しているからだ。

具体的には、家庭で女の子なんだから勉強しなくても良い、女の子なのに浪人するなんてと言われたり(都会を中心にそんなことはあり得ないという意見もあるが、ただ単に差別に鈍感なだけで、私の育ったような田舎では見られる現象である)、教員が成長思考の教授法を採れていなかったり、学校での進路指導で女の子なんだから浪人しないように出願は安全校で・女子は文系で・女子は手に職を付けるために資格を得られる看護系や教員養成系でと言われたり、というのは典型的な入試以前の教育段階における女子差別である。

また、女子は男子の前でだけは競争心を発揮しづらいという行動特性を持つが、男女別学ではなく共学が主流であることも女子に不利なものの一種である。

この話題は、「女子の理系離れが起きる6つの理由」「男子がいると女子の競争力が低下する問題」「男女の学習行動の違いから判明した『自信を持てない女の子たち』」などの記事の中で詳しく議論しているので、参照していただきたい。

 

専門職や指導的立場にいる女性数が極端に少ない

かつて日本の女性の低い労働参加率はM字型カーブの問題として議論されていた。

しかし、上の図1が示すように(GPIはGender Parity Indexの略で、特定指標における女男比であり、1だと男女平等、1を上回ると女性の方が多く、1を下回ると男性の方が多い、ということになる)、依然として他のOECD諸国と比較すると男女間の労働参加率格差は大きいものの、その差は他のOECD諸国とそれほど遜色ないところまで来ている。

日本におけるジェンダーと労働参加の問題は、労働の量から労働の質へとその焦点が移りつつある。

上の図2・3・4が示すように、労働参加率の男女間格差と比べると、管理職の男女比、女性国会議員の割合、そして男女間の賃金格差の度合いは、他のOECD諸国と比べて大きくなっている。

要約すると、日本は専門職や指導的立場にいる女性の数が極端に少ない国であると言える。