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# 定年 # 年金

定年直前にやっておくだけで、老後にウン十万円も得する「裏ワザ」

辞める日が一日違うだけでも大きな差

退職する日が1日違うだけで、その後に「大きな差」

月額の給与を1円減らすと、年間2万円も手取りが増える。不思議な話だが、事実だ。カラクリはこうなっている。

「厚生年金加入者の年金保険料は31等級に分類されていて、それぞれの報酬月額に応じて金額が決まっています(ページ末の表参照)。たとえば、月収が24万9999円であれば、16等級で厚生年金保険料は2万1960円です。

一方、月収が1円多い25万円だと、17等級になり、年金保険料は2万3790円になります。その差は1830円で、年間で2万1960円になります」(社会保険労務士の田中章二氏)

定年後、再雇用される場合も、別の職場で週30時間以上働き、年収130万円以上稼ぐ場合も(従業員が501人以上の大企業の場合は、週20時間以上、年収106万円以上)、勤め先の厚生年金に加入する必要があるが、厚生年金保険料は給与に応じて段階的に決まっている。

その境目を超えないように、働く時間を工夫すれば、納める社会保険料が少なくて済み、手取りが増えるというわけだ。

田中氏が続ける。

「1円単位で給料を減らすのは、現実的ではないかもしれませんが、労使での合意があれば、給料の減額は可能です。

もし、ほんの少しの差で自分の等級が上がってしまうのであれば、会社側と話し合ってみてはいかがでしょうか。長い目で見れば、厚生年金保険料を多く支払ったほうが、受け取れる年金額は多くなりますが、それも長生きすれば、のことです」

 

また、厚生年金保険料の算出基準となる標準報酬月額は毎年、4~6月の給与の平均で決まる。この間の給与を他の月よりも抑えれば、厚生年金保険料が安くなる可能性もある。

したがって、残業もある再雇用などの場合は、この3ヵ月間は残業を控えるのが賢明だ。

もうひとつ、受け取るおカネを最大限にする「裏技」を紹介しよう。これは雇用保険の「失業給付」を活用するというもの。会社を退職したときには失業給付が支払われるが、退職した日が1日違うだけで、その額が大きく変わるという。

社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの井戸美枝氏が話す。

「雇用保険に20年以上加入している64歳までの人が退職時にもらえる失業給付は『基本手当』の150日分が支給されます。

それに対し、65歳になってから辞めると『高年齢求職者給付金』しか受け取れず、こちらは最長で『基本手当』の50日分です。

雇用保険法では、『誕生日の前日に満年齢に達する』というのが基本的な考えです。65歳の誕生日が8月1日だとしたら、7月31日に辞めると高年齢求職者給付金(50日分)しか受け取れません。

一方、7月30日に辞めると、まだ64歳とみなされるため、失業給付(150日分)が受け取れるのです。退職日を自分で選べるのならば、事前に会社に断って65歳の誕生日の前々日までに辞めたほうがいいでしょう」