パート妻の得する働き方は、夫が「再雇用中」「定年後」で正解が違う

「週30時間の壁」を最大活用する方法
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妻の扶養家族になる

裏を返せば、夫が65歳を過ぎて、企業の雇用から離れた場合、妻が週30時間以上働いている勤め先の社会保険に加入し、「夫を扶養する」という方法もある。

ファイナンシャルプランナーの大沼恵美子氏が解説する。

「夫が65歳で、妻が60歳というように年が離れている夫婦の場合は、妻が社会保険に加入する働き方をして、夫が妻の扶養家族になるという働き方がおすすめです。

妻の扶養家族になるためには、夫の年収(年金を含む)が180万円未満などの条件はありますから、ややハードルは高いかもしれません。

しかし、夫が扶養家族になっても、妻の健康保険料や厚生年金保険料が増えるわけでもありません。それでいて、夫は国民健康保険料を支払うことなく、健康保険を利用できるわけですから、大きなメリットです」

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この場合も、夫が「週30時間」(従業員501人以上の大企業の場合は「週20時間」)を超えて働かないことが重要だ。同時に年収「180万円の壁」を意識しよう。

「夫婦がいずれも社会保険を抜けると、国民健康保険料を支払わなければなりません。どちらか一方ができるだけ長く社会保険に加入し、片方を扶養にして保険料を勤め先にも払ってもらうことがポイントです」(社労士でファイナンシャルプランナーの井戸美枝氏)

ふたりとも65歳で年金を満額受け取るようになれば、週30時間を超え、わざわざ社会保険料を納めてまで働くことはナンセンスだ。

「たとえば、65~69歳の夫婦二人の平均的な生活費は月額26万円程度です。余裕のある暮らしを送りたいのであれば、月30万円程度。

一方、年金の平均額は夫婦二人で月額約22万円(厚労省のモデルケース)。その差は8万円です。夫婦二人でそれだけ稼げばいいのですから、無理して長時間働くことはありません」(ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏)

 

近年、日本国内では深刻な人手不足が問題になっており、政府は「1億総活躍」などと言って、高齢者も働かせようとしている。だが、65歳を過ぎれば、これまでの人生で十分に働いてきたと言える。労働で健康を損なっては元も子もない。

前出の稲毛氏が言う。

「国としては労働人口を増やさなければならないのでしょうが、働くことが人間のすべてではありません。65歳を過ぎれば、好きだから働くという原点に還るほうがいい。

実際、家計の棚卸しをして無駄な出費を省けば、無理して働かなくても生活できる人は結構います。

私は、定年退職後は現役並みの収入にとらわれず、たとえ収入が下がっても面白くて好きな仕事をしているほうが、よほど精神的な充実感が得られると思います」

「賢い働き方」が、夫婦の人生に満足感をもたらすのである。

「週刊現代」2018年8月11日号より