Photo by iStock

パート妻の得する働き方は、夫が「再雇用中」「定年後」で正解が違う

「週30時間の壁」を最大活用する方法

働かないほうが儲かるんです

夫が定年後、再雇用もしくは別の会社でフルタイム勤務をするなら、パートに出ている妻の働き方に気を使わなければ損をする。

一般に言われるのが、年間130万円以上稼ぐと独自に社会保険に加入しなければならなくなる「130万円の壁」だ。

年収が130万円未満なら、夫の扶養家族になるため、健康保険料も厚生年金保険料も支払わなくてよい。逆に130万円を超えると、夫の扶養から外れ、社会保険料を支払う義務が生じる。

夫の扶養に入っている多くのパート労働者が「130万円の壁」を意識しながら働いているが、同時に労働時間も意識しなくてはならない。それが「週30時間の壁」である。労働時間が週30時間を超えても、社会保険料を支払う義務が生じるのだ。

この場合、いくら社会保険料を取られるのか。妻の健康・介護保険料は給与(標準報酬月額)の11.47%、厚生年金保険料は18.3%で、ともに労使で折半して支払うことになる(数字は協会けんぽに加入した東京都の場合)。

このため、長く働いても手取りが増えないケースが想定されるという。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの稲毛由佳氏が試算する(図表はページ末に掲載)。

「わかりやすく60歳の妻が時給1000円でパート労働をするケースで単純比較しましょう。

月に130時間働く場合、基本給は13万円。しかし、週に30時間以上働いているため、勤め先の社会保険に加入する義務が生じます。

そのために、雇用保険料390円と所得税1240円に加えて、健康保険料6633円、介護保険料1052円、厚生年金保険料1万2261円が給料から天引きされ、手取り金額は10万8424円になります」

 

一方、夫が再雇用で会社の厚生年金に加入している場合、妻が労働時間を週30時間未満に抑えて110時間しか働かなくても、月130時間働いている人とほぼ変わらない手取りになる。

「週30時間を超えない範囲で月に110時間働き、かつ年収130万円を超えないように働くとしましょう。

この場合、勤め先の厚生年金と健康保険に加入する必要はないので、月給から天引きされるのは、雇用保険料330円と所得税1240円だけ。手取り金額は10万8430円で、130時間働く妻と比べて、わずか6円ですが手取りが多くなるのです」

手取り金額を減らされたくなければ、定年を迎えて再雇用された夫の妻は、労働時間を「週30時間」未満に抑えるのが鉄則だ。

ただし、従業員が501人以上の大企業が妻の勤め先の場合は、週20時間・年収106万円以上から社会保険への加入義務が生じるので、注意しよう。