税務署があえて言わない、年金暮らしの人が「手取り」を増やす裏ワザ

60歳から働き過ぎないで得をする方法
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年間「5万円」を失う…

すでに老齢基礎年金は65歳以上からの支給になっているし、今年度に57歳になる人とそれよりも若い世代は、65歳以上にならないと老齢年金の報酬比例部分を受け取ることができない。一方で政府は'13年から企業に、希望者はすべて65歳まで雇用するよう義務付けた。

年金が満額支給される65歳までしっかり働いて社会保険料と税金を納めろ、というわけだ。在職老齢年金の廃止は一見、そのための「アメ」に見えるが、実はこれによって給料の手取り金額が「減る」おそれが指摘されている。

ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が解説する。

「在職老齢年金が廃止された場合、いくら稼いでも年金はカットされなくなりますが、給与所得に応じて所得税や厚生年金保険料は払わなければいけません。その分、将来的にもらえる年金額は増えますが、在職老齢年金と同時に、公的年金等控除も廃止される可能性があるので、目先の手取り額は減ることになります」

 

深野氏が言うように、在職老齢年金に加えて公的年金等控除が廃止されれば、60~65歳の所得控除は次のように変わる。

たとえば、給与収入が月20万円、部分年金が8万円で月28万円の収入を得ているケースで考えると、手取り金額は実に「年5万円も減る」と深野氏は試算する。

詳しく解説しよう。給与所得控除(年収240万円×30%+18万円)が90万円、公的年金等控除が70万円、基礎控除が38万円なので、合計で年198万円が控除となり、課税所得は42万円となる。これにおおよそ所得税5%と住民税10%がかかってくる。

「一方、在職老齢年金と公的年金等控除がなくなると、年間の所得税分で約2万円、住民税も1万円弱は増えるので、合計で手取り額が2万5000円~3万円くらい減ることになります。そのほか、見かけの所得が20万円から28万円に増えたために、支払う厚生年金保険料と健康保険料が2万円程度高くなります。税金と合わせて、年間で5万円くらい多く負担することになるでしょう」(深野氏)

在職老齢年金が廃止され、たくさん稼ぐようになると、所得にかかる税金や厚生年金保険料が高くなるわけだ。