医者の間では常識だった…大調査「かかりやすい病気」は職業で決まる

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ショップ店員と歯周病

建設業などの肉体労働者は、高血圧をはじめとする生活習慣病に注意が必要だ。
宇佐美氏が続ける。

「こちらは、現役時は食事量が多くなりがちですが、退職後に運動量が減っても食事量が減らない人が多いのが問題です。高コレステロールや塩分過多で高血圧や糖尿病になりやすく、動脈硬化によって心筋梗塞や脳梗塞になってしまいます」

 

近年、動脈硬化や心筋梗塞の要因に歯周病の存在が指摘されているが、これも職業と密接な関係にあることがわかった。

愛知学院大学歯学部教授の嶋崎義浩氏らが行った5年間の追跡研究によると、男性では、「専門的・技術的従事者」と比較して、「生産工程・労務従事者」は2.52倍、「販売従事者」は2.39倍、「運輸・通信従事者」は2.74倍、歯周病発症のリスクが高いことがわかったのだ。

嶋崎氏が解説する。

「平たく言えば、医師や技術者などの専門職に比べて、ショップ店員や工場労働者、トラックドライバーのほうが歯周病になる割合が高い、ということです。

歯周病が悪化するかどうかはセルフケアがうまくできているかどうかが基本です。歯周病発症リスクが高い職種の人は、治療を受ける必要があるのに時間がないという状態が続き、悪化させている人が多いと考えられます」

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立ち仕事の多い宅配業者や飲食店の店員にとっては、膝関節症やヘルニアは職業病とも言える。退職後、完治することは少なく、一生付き合っていかなくてはいけない。

「実は米国では立ち仕事の多い職業は、デスクワークが多い職業に比べて、心疾患や脳梗塞のリスクが低く、寿命が長いという研究があります。

とはいえ、彼らが腰痛やヘルニアに悩んでいるのも事実です。階段を昇降することの多い宅配業者や、畳に膝をつく旅館の仲居などは膝の軟骨がすり減り、退職後も変形膝関節症に悩んでいる人が少なくありません」(前出・秋津氏)

体や心の負担がない仕事など存在しないが、現役時代のツケは定年後、一気に押し寄せる。本文で紹介しきれなかった「病気と職業」の関係は表にまとめた。思い当たるフシのある人は、まずは生活習慣の見直しから始めてほしい。

「週刊現代」2018年8月4日号より