実の子どもより深刻な「ペットを遺して死ねない」問題、その解決法

これなら我が家の犬も……

子どもも巣立った60代以上にとって、犬や猫は単なるペットではなく「家族」と同じ存在である。だがふと考える。もし、自分が突然、先に逝ってしまったら……。遺されたこの子たちはどうなるのか。

最悪の場合、殺処分に

「現在、高齢の母(80代)と二人で暮らしています。そんな家庭に癒やしを与えてくれているのが、メスのトイプードルの『あろん』(11歳)です。

私はいま64歳ですが、この子が最後に飼う犬になると思います。母も『もうこの子の後は飼っちゃダメよ』と言います。責任を持ってワンちゃんを看取ることができるかわからない年齢になるからです。

だから高齢の飼い主の方が『愛犬を遺して亡くなったら、どうしよう』と心配になる気持ちはよくわかります」

こう語るのは、'69年にドラマ『柔道一直線』のヒロイン役で一世を風靡した女優の吉沢京子氏だ。吉沢氏が続ける。

「私の場合、息子がいたり、親戚がいたりで、もしものときは何とかなるだろうと高を括っているのですが……やっぱり不安はありますね」

 

自分が死んでも、実の子どもなら、何とか稼いで生活していくだろう。しかし、ペットはそうはいかない。だれかが世話をしてやらないと生きていけない。

自分が亡くなった後、家族同然であるペットたちは不自由なく元気に暮らしていけるのだろうか……。ペットを飼っている人なら、だれもが持つ悩みだ。

現在、日本全国で飼育されているペット数は、犬=約892万匹、猫=約952万匹と推定されている(2017年、ペットフード協会調べ)。一方で、1年間に約10万頭の犬猫が保健所などに持ち込まれ、半数が「殺処分」されている現実もある。

動物臨床医学会の調査によれば、ペットを遺棄する年代は60代以上が56%を占めるというデータがある。原因としては、突然死による遺棄、がんや認知症、老人ホームへの入居で飼えなくなったことなどが挙げられる。

保護猫の譲渡を行うNPO法人「東京キャットガーディアン」代表の山本葉子氏が語る。

「現在、犬と猫の平均寿命は15年とされていますが、近年はペットフードの改良により、どんどん平均寿命が延びています。とくに猫は、将来的に30年にまで延びるとも言われている。今後ますますペットを遺して逝く人は増えるでしょう」

飼い主に「もしものこと」があったとき、遺族や友人が飼育を放棄すれば、遺されたペットは保健所に引き取られることになる。そこで新しい飼い主が見つからなければ、最終的には殺処分されてしまう。

動物好きであれば、自分を支えてくれたペットには、生涯安心して暮らしてほしいと願うのは当然のこと。それが、そんな悲惨な最期を迎えるとしたら……。想像しただけでも、胸が詰まる。