太陽系で最大の惑星、木星。内側に地球が1300個おさまるこの巨大惑星は、衛星の数も膨大だ。2017年に67個と報告されたその数が、今度は一気に12個も増えたという──。
分析に1年かかった「未知の天体群」
ガリレオが自作の小型望遠鏡を使って、木星の衛星を初めて発見してから400年。天文学者らによる新たな衛星の発見は今も続いている。
最近、新たに12個の衛星が見つかり、木星の衛星数は合計79個になった。この数は太陽系の惑星では最多だ。
2017年、カーネギー研究所(アメリカ・ワシントンDC)のスコット・シェパード氏の研究チームは、太陽系の周縁部にある天体を探すにあたり、木星のすぐ近くの領域に望遠鏡を向けた。
すると、巨大なガス惑星である木星の周りを、未知の天体群が動いているのが見えたのだ。

ただしこの時点では、これらが木星の衛星なのか、それともたまたま木星の近くを通過中の小惑星なのかはわからなかった。
研究チームを率いるシェパードは、「特別な発見の瞬間があったわけではありません」と語る。
「これらの天体の正体を明らかにするのに、1年かかりました」
見つかった天体はすべて木星の衛星であることがわかった。そして2018年7月17日には、このうちの10個について、衛星であることを確認したとの発表があった。他の2個は先行して衛星であると確認されている。
こうした衛星がこれまで見つかっていなかった理由は、その小ささにある。
国際天文学連合小惑星センターのガレス・ウィリアムズ氏は、今回の衛星の直径をわずか1〜2kmとしている。
さらにウィリアムズ氏は、木星にはほぼ同サイズの未発見の衛星が他にもあるのではないか、と可能性を指摘している。