「あおり運転」「危険運転」に遭遇しても、絶対やってはいけないこと

「ロードレイジ」から身を守るために
安藤 俊介 プロフィール

「出てこい」と言われたら…

「あおり運転」「危険運転」でトラブルになる事例では、相手がウインドウやドアを開けて怒鳴りつけてきたり、車を停め、降車して「出てこい」などと要求してくることが珍しくない。昨年6月に東名高速で起きた、危険運転を原因とする夫婦の痛ましい死亡事故では、加害者と被害者が車を降りて口論したことも事故の決定的要因となった。

もしロードレイジに巻き込まれてしまった場合、絶対にやってはいけないのは、「車から降りること」だ。特に相手が激怒・激昂している局面ともなれば、当事者同士で話し合っても、まず穏便に済む事はありえない。

たとえ相手がウインドウや車体を触ったり叩いたりし、出てこいと叫んでいても、決して応じてはならない。冷静になって、車に乗ったまま携帯電話で110番通報をすることだ。挑発に乗らず、警察が駆けつけるのを待ち、必要ならばドライブレコーダーの記録を提出するなどして、判断を仰ごう。

 

これからの時期、帰省や旅行で長時間、長距離を運転するドライバーも多いことだろう。運転中の苛立ちを抑えて、無用なトラブルを招かないために、もっとも重要なのは「急がない」ことだ

必ず時間に余裕を持って旅程を立てる。それでもやむをえず渋滞に巻き込まれることはある。家族や友人と一緒に出かけるのであれば、前もって「渋滞に巻き込まれたときにやること」を決めておくといい。お気に入りの音楽をかけるのでも、簡単なゲームをするのでも、過度に運転に支障が出ないものなら何でもいい。

そもそも、なんのために帰省や旅行をするのか考えてみると、それは煎じ詰めれば「家族や友人とコミュニケーションが取りたいから」ではないだろうか。そうではなく、目的地に到着することを「ゴール」だと考えてしまうから、不測の事態が起きたり、予定が狂ったりした途端にイライラしてしまう。

大切な人と一緒に過ごすことそのものを旅の目的だと考えれば、わずかかもしれないが、渋滞の不愉快さも和らぐはずである。そのわずかな心構えの違いが、あなたと同乗者の命を守る。

写真はイメージです(Photo by iStock)

前述したように、ロードレイジという概念が昔から定着しているアメリカに比べて、日本では「危険運転・あおり運転は犯罪である」という認識自体が、まだ広く浸透しているとは言いがたい。筆者が代表理事を務める日本アンガーマネジメント協会でも、今年から高速道路のサービスエリアや教習所でブックレットやステッカーを配布するなどの、ロードレイジ撲滅運動に取り組み始めたばかりだ。

お盆休みの間、ロードレイジを原因とする痛ましい事故のニュースを、耳にしなくて済むように願っている。