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世界タイトルを4階級制覇したキックボクサーが「物書き」になるまで

そして「グラビア」評論家へ…?

「強くなりたい」という欲求

皆さん、こんにちは。愛を知る県、愛知県の佐藤嘉洋です。この度、現代ビジネスにて文章を書かせてもらうことになりました。「誰だお前?」という方もいらっしゃるかと思いますので、まずは自己紹介から。世界タイトルを4階級制覇した元プロのキックボクサーですが、幼い頃のエピソードから始めてみます。

私は中学生の頃にキックボクシングを始めました。キッカケはケンカに強くなりたかったからです。

少年時代の著者(写真:著者提供)

生まれ育った地元は、当時はあまり“お行儀の良い“エリアではなかったので、やや荒れ気味でした。私の友達にオオサワというヤツがいまして、彼と一緒に近所でオープンするという噂だったボクシングジムで「一緒にやろう」という話をしていました。

中2になったばかりの頃、私からオオサワに殴り合いのケンカをけしかけました(理由もまた面白いので、いつかの機会に書かせてもらいます)。しかし、顔面が腫れ上がるくらい見事にズタボロにされてしまったのは、私の方。口喧嘩ではなくお互い全力を尽くして殴り合ったので、ケンカが終わったあとは、お互い割とスッキリしていて、オオサワとはすぐに仲直りしました。

家に帰ると向こうの親から謝罪の電話がかかってきました。しかしうちの母親は「いいのよいいのよ!ケンカ両成敗よ。うちの子が弱かったんだから。ところでさ……」と早々にケンカの話は切り上げ、相手の親と世間話に移行する始末。腫れ上がった目に氷嚢を当てながら、私は横で苦笑いでございます。

 

オオサワと仲直りはしたものの、ケンカでは惨敗した事実は変わらず、私としては悶々としたものが残りました。あ、惨敗といっても、最後まで立ち続けましたし、周りに制されるまで一歩も引きませんでしたし、ボコボコにされながらも逆転を信じて最後まで戦い続けました……はい、負け惜しみです。

こんな派手な殴り合いのケンカも珍しかったので、たくさんのギャラリーが高みの見物をしていました。その中の一人に「オオサワには敵わんから止めとけて」と鼻で笑われたこともあって、余計に「絶対に負けるものか」と奮起したのを昨日のことのように思い出します。私は、負けず嫌いなのです。けれど、どこからどう見ても私の負けは明白でした。まずはそれを認め、次に勝つにはどうしたらいいのか、を考えました。

「オオサワと同じボクシングをやっていたら、一生勝てない。アイツが手だけを使うボクシングを始めるなら、足も使えるキックボクシングでオレは強くなろう!」

それがキックボクシングを選んだ一番の理由でした。“ケンカに強くなりたい“というのは今から思えば不純と言えばいいのか、バカバカしい動機かもしれません。けれど、その根本には「ケンカに」という枕詞を除いた「強くなりたい」という欲求がありました。これは純粋で私のその後の人生にも影響する軸となる動機でしょう。