65歳以下でも年金満額をもらうための「知られざる奥の手」

天下り役人はやっているテク
沢田 浩 プロフィール

初めての年金は手取、手取り39万円

会社を2月末で退社した僕は、3月に特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを行い、4月26日、晴れて厚生労働大臣からの通知書をいただいた。
「国民年金法による年金給付・厚生年金保険法による保険給付を行うことを決定したことを証します」

初めての年金支給日は6月15日。3月~5月までの3か月分で、所得税3万3111円が控除された、39万304円が振り込まれていた。以降は偶数月に2か月分の年金額が支払われることになった。

 

それにしても、年金制度は複雑である。とくに、60歳で年金が支給されていた時代から、支給年齢が原則65歳と繰り下げられて以降の仕組みはより複雑化している。一例を挙げれば、平成37年までは、移行措置として年金開始年齢が男女別に生まれた年により、覚えられないほど細かく定められている。

僕のケースである「昭和30年4月2日~昭和32年4月1日に生まれた男性」は、62歳の誕生日から受給資格が得られる。つまり、収入条件や、会社をやめることで年金がもらえることになる。だが、同じ生年月日でも、女性の場合は60歳から得られるという不思議さだ。

さらに、僕の次の世代では「昭和32年4月2日~昭和34年4月1日に生まれた男性」は、63歳の誕生日から受給資格が得られる。微妙に受給年齢を後ろ倒しにし、最終的に65歳が一律の受給年齢となる仕組みだ。

年金に頼るなという、国の鬼のような本音

この年金制度改革は、国の働き方改革とセットで動いてきた。世の中ではまだまだ60歳定年制の会社も多いが、国は平成25年4月に、65歳までの雇用継続を義務付けた。「高齢者雇用安定法」というありがたい法律のおかげである。

会社勤めの人間にとって、65歳までは堂々と働ける世の中になった。完全実施は平成37年度で、その間は段階的な年齢移行とはなるが、視点を変えると、この法律、とてもありがたくないものに思えてくる。

つまり、
①60歳を過ぎても、働けるうちは年金に頼らずに働きなさい。
②60歳を過ぎても、雇用されている間は厚生年金保険料を払いなさい。
③雇用する会社もできるだけ長く高齢者を雇用し、厚生年金保険料を折半で支払いなさい。
――ありがたいどころか、国の本音は、年金原資を確保するための、鬼のような働き方を方向づけているのである。

60歳を過ぎたら、制度を逆手にとった働き方改革を

実際、僕は60歳を過ぎて、会社で社員の立場で働き続けることには違和感を持つ。人間60歳を過ぎる頃になると、記憶力も判断力も低下し、いっぽうで頑迷度だけは深まる。会社員という組織人として働くことには、もはや向いていないお年頃と感じてきた。むしろ、得意な分野だけに特化する、業務委託者という働き方こそが高齢者にはふさわしいとさえ思う。

 

これまでの会社員時代の給料に比べると収入は半分ほどに下がったが、会社以外の仕事もできるし、頑張れば年金を満額もらいながら収入だって増やせる。だから、まったく後悔していない。

そのいっぽうで、世の中へに対しての疑り深さも相当強くなってきた。今回の退社にいたるまでの一連の手続きでは、初めて知るような制度が山ほどあり、驚きの連続だった。納得できるものもあれば、こんな仕組み、誰が考えたのかという仰天の制度にも遭遇した。その結果、年金機構も含め、相当なバトルを繰り返してきた。

勝手な言い方を許していただければ、年金受給資格を得た者は、定められた制度を逆手にとって行動するくらいが正しい道と思っている。今年4月、財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」では、年金の支給開始を68歳に後ろ倒ししようという提言も行ったそうだ。

平均寿命が今後さらに延びるなかで、年金の財源を維持するため、国はあの手この手を考えてくるだろう。ならば皆が会社員という立場を捨てて対抗するのもこれからの選択肢である。これこそが、60歳を過ぎてからの真の働き方改革と信じている。

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