65歳以下でも年金満額をもらうための「知られざる奥の手」

天下り役人はやっているテク
沢田 浩 プロフィール

自営業になれば、老齢厚生年金も満額支給

先人たちによい方法はないか、と教えを請うた。

「どうしても年金をもらいたいのなら、会社の給与を下げてもらったらいい。実際、うちの会社では60歳以上の定年再雇用者は、在職中の老齢厚生年金がカットされない給与水準になっているからね」

と、すでに年金を得ている同級生の声。製造業の会社に勤務している。そのかわり、再雇用後の給料は、定年前までの3分の1ほどになり、ボーナスを含めた平均給与月額と年金額の合計が28万円以下になるという。

たしかにこの額なら年金を1円もカットされずに、年金をもらいながら働くことは可能である。この仕組みは、前年のボーナスを含めた平均給与月額(総報酬月額相当額)が46万円以下の場合も可能だが、その場合は「年金月額ー(総報酬月額相当分+年金月額-28万円)÷2」の複雑な計算式により、その多くが支給停止となる。仮に現在の僕が28万円の給与を得た場合、13万円以上が支給停止となり、先にふれた僕の老齢厚生年金月額14万円は、9500円ほどとなってしまう。これも正直言って避けたいところだ。

すると、ある特殊法人の職員OBから思わぬ知恵を授けられた。

「給与をもらうということは雇用されていることになる。雇用されている状態である限り、60歳以上でも厚生年金保険料は払わなければならないんだけど、裏を返せば、年金受給資格を得た段階で、厚生年金保険料を払わないですむ働き方をすればいい。雇用でない状態、つまり自営業とか、フリーランスで報酬を得る働き方をすれば、老齢厚生年金は1円もカットされずにもらえるよ」

一瞬耳を疑ったが、どうやらこの厚生年金保険における収入制限は、雇用という働き方をしている者だけに適用される制度で、雇用されていなければそもそも対象外なのだという。

奥の手は、業務委託契約を交わすこと

特殊法人OBはそして、こう続けた。

「うちでは、年金を得られる年齢になると職員をやめて、業務委託契約を交わして仕事をする人がけっこういるよ。もちろん、適法。天下りの役人はよくやっています。給与と同じ支払額でも、雇用契約ではなく個々の仕事を請け負ってもらう形だから、業者と同じ。だから、老齢厚生年金もカットされないし、法人としてもメリットがある。厚生年金保険料の雇用者負担がなくなるからね」

一般に厚生年金保険料は、雇用する側と、雇用される者が折半してそれぞれを負担している。僕が会社をやめた場合には、会社も僕の厚生年金保険料を支払う必要がない。

僕の場合では、会社員であることやめ、自営業で働けば、その翌日から年金が請求できるのである。幸い書籍の編集者などという仕事は、会社員でなくてもできる。実際、世の中には書籍の仕事を請け負うフリーの編集者がたくさんいる。僕は躊躇なく会社を辞めることにした。

お世話になってきた会社には、ここまでのことを包み隠さずに相談した。意外だったのは、そういう前例があるということ。この働き方、実は知る人ぞ知る、60歳からの働き方のようである。幸い、会社は前例にもあった業務委託契約を締結してくれた。だから、ある程度、安定した状態で仕事が継続できることになった。

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