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「アレが思い出せない!」最大の理由、「2つの記憶」の正体

「心理学の記憶モデル」を一気に解説!

世の中に充満しているわかりにくい表現は、なぜわかりにくいのか。人にわかってもらうための表現はなぜ難しいのか。それを理解するために役立つ人間の脳の記憶のしくみを、『心理学者が教える 読ませる技術 聞かせる技術ブル―バックスから著した海保博之さんの本より、今回まとめてみた。

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短期記憶と長期記憶

図1は、認知心理学でもっとも基本的なモデルとして採用されている「二貯蔵庫モデル」というものである。

人間の頭の中の、情報の処理を行う場所として、短期記憶長期記憶との2つを仮定して、それぞれの場所での情報の処理のされ方や処理された情報のやりとりの特徴を明らかにすることを狙ったものである。

  二貯蔵庫モデルの図 

短期記憶では、文字通り、短期間の情報処理が行われる。電話番号簿から相手の番号を探して電話をするとき、隣の部屋からノートと鉛筆と消しゴムを持ってくるように頼まれたときなどに、短期記憶への一時的情報の保持がなされている。

長期記憶に蓄えられた膨大な情報は、「知識」と呼ぶこともできる。学問的な知識はもちろんのこと、自分だけにしか意味のない知識、こういうときにはこうすればよいというような体験的知識などなど、その種類は多彩である。

我々は、この知識を増やしたり、更新したりしながら、短期記憶を介して外側の世界とかかわっているのである。また、表現するときには、知識が非常に大事になる。というより、知識なくして表現なしとも言える。

長期記憶の基本的な働きは、短期記憶で処理するために必要な情報を提供し、そしてそこで処理された情報を長期間にわたり蓄えておくことである。短期記憶がせいぜい20秒の世界なのに対し、長期記憶は、ほぼ永久とする考えが優勢である。