AKBが開いたパンドラの箱『PRODUCE 48』の代償と可能性

残酷すぎる光景から考えること
松谷 創一郎 プロフィール

エピソード1と2では総勢96名がパフォーマンスを繰り広げたが、この段階の結論を言えば日本勢の惨敗だ。48グループの多くは自信満々に演目を披露したが、トレーナーから出てくるのは酷評ばかりだ。しかも、その多くが持ち曲だったにもかかわらず。

たとえばAKBでは歌唱力が評価されていた小田えりな(総選挙60位)と、AKBダンスコンテストで優勝した中野郁海(圏外)はいっしょにパフォーマンスをしたが、その最中に複数のトレーナーが顔をしかめるほど。

なかでも、KARA「ミスター」などの振付師であるペ・ユンジョンは、かなり厳しく意見する。

「彼女(小田)の歌い方は古い」
「正直、あなた(中野)がダンスコンテストで優勝したとは思えない。こんなレベルのままでは、ステージに立ち続けることはないでしょう」

審査は、このようにシビアに続いていった。

 

「違うよもう。文化が……」

本村碧唯や今田美奈などHKT48の7人は、持ち曲の「止まらない観覧車」を披露した。このときにいたっては、ペ・ユンジョンは呆れたような顔で質問したほどだ。

「いまのパフォーマンスを日本でやってるんだよね。ということは日本でオーディションを突破しているのね。なんで選ばれたの? あなたたちには、どこか良いところがあるから選ばれたはず。私はその理由がわからない。本当に奇妙です」

7人は困ったような笑みをただ浮かべるばかり。

だが、こうしたペ・ユンジョンの質問は単なる苛立ちでもなかった。彼女はさらに質問を続けた。

「K-POPは、完璧にシンクロしたダンスでとても有名になりました。日本ではそれが重要視されないの?」

回答したのは今田美奈だ。

「ダンスを合わせるというよりは、愛嬌のほうが日本のアイドルでは……」

それでペ・ユンジョンは納得した。

「ああ、文化の違いか」

この反応はけっして皮肉などではない。直後には、ソユ(元SISTAR)などは必死に「文化の違い」を強調してフォローしようとしていた。

「文化の違い」と言ってしまえば、たしかにそのとおりだ。未完成であり続けることに価値が生じる48グループと、常に完成を目指すK-POPでは明確に評価基準が異なる。

実際、この光景を見ていた48グループのメンバーは口々にこうこぼした。

「私たちって踊りとか歌を見せるより、『楽しい!』ってのを見せることが仕事だよね」(武藤十夢/AKB48)
「うちらはそういう(楽しさをアピールする)エンタテインメントですって強調していくしかないよね」(岩立沙穂/AKB48)
「踊れなくても歌えなくても、人気あるひとはあるしさ……」(篠崎彩奈/AKB48)
「違うよもう。文化が……」(小嶋真子/AKB48)

とは言え、今回はあくまでもパフォーマンスを基準とするK-POPルールだ。当初から予想されていたとは言え、48グループの多くはいきなり壁にぶつかった。