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3連覇を狙う広島に、突如現れた「救世主」

これで弱点が穴埋めされた

ドミニカからやってきた孝行男

3連覇を狙う広島に救世主が現れました。今年の春、育成契約を結び、5月に支配下登録されたのがカープアカデミー出身のドミニカ人ヘロニモ・フランスア投手です。

186センチの長身からストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップを投げ分けます。ストレートのマックスは154キロ。コントロールに若干不安を残してはいますが、少々甘いコースにいっても、ねじ伏せるだけのパワーを有しています。

1979年と80年、カープはリーグ、日本シリーズを連覇しました。その立役者は“不動の守護神”江夏豊さんでした。

79年の近鉄との日本シリーズは“江夏の21球”で知られますが、80年も近鉄との対戦となり、第7戦にまでもつれ込みました。このゲームでも最後を締めたのは江夏さんでした。

 

79年と80年、カープにはもうひとり左のリリーフがいました。若き日の大野豊さんです。79年はリーグ最多の58試合に登板し、5勝5敗2セーブ。80年は49試合に登板し、7勝2敗1セーブ。大野さんから江夏さんへのリレーは、ほぼ盤石でした。

周知のように大野さんは江夏さんの愛弟子です。名前が同じ豊ということもあり、江夏さんは自分の弟のようにかわいがっていました。ピッチングのイロハのイ、キャッチボールから手取り足取り教え込みました。

その江夏さんに過日、「3連覇の条件は?」と問うと「左の中継ぎ」と答えてくれました。できれば2人欲しいが、ひとりでも出てくればチームにとっては御の字、と語っていました。その意味で、まさにフランスア投手はドミニカからやってきた孝行息子です。

先述したようにフランスア投手にはボールを出し入れするような制球力も、ボール球を引っ掛けさせるような投球術もありません。ただ力で押しまくるのみですが、NPBには少ないタイプのピッチャーゆえ、相手打者には明らかに戸惑いが見られます。

2位巨人を5ゲーム引き離して迎えた7月20日からの本拠地での3連戦、フランスア投手はいずれも胸突き八丁の終盤にリリーフとしてマウンドに上がり、広島の3連勝に貢献しました。

これで7月に入ってからは9試合に登板し、6ホールドを挙げ防御率1.64(7月30日時点)。この9試合での広島の戦績は7勝2敗です。3連覇へのエンジン役になっています。広島にとっては“左の中継ぎ”という最大の弱点が穴埋めされ、視界良好といったところでしょうか。それとも、まだひと山あるのでしょうか……。