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上海のエリートたちが「トランプ頑張れ!」と願う驚きの胸の内

いま中国の「改革派」はこう考えている

「李稲葵論文」とは何か

7月はとうとう、このコラムも7月6日に「開戦」した米中貿易戦争の話題一色になってしまったが、ご寛恕願いたい。

なぜこれほどこの問題をクローズアップしているかというと、第一に、今後の米中覇権争い、もしくは「21世紀の米中冷戦」の口火となる可能性があるからだ。

トランプ大統領は、今年に入って「中国圏」にいた国のボスたち、金正恩委員長やプーチン大統領らと握手。またEUとは先週「休戦」し、中国包囲網構築に集中している。11月には、アメリカの中間選挙ばかりか、台湾で統一地方選挙を控えていて、急進派の蔡英文政権が攻勢を強めている。

与党・民進党が目論む「来年4月の独立の是非を問う国民投票」が実現するとは思わないが、今年秋から来年春にかけて、台湾海峡の波が荒れることは十分に想像がつく。昨年の北朝鮮騒動に続き、今後は「もう一つの火薬庫」である台湾が激震する可能性がある。

二つ目は、「トランプ爆弾」によって、これまで一枚岩で強国路線をひた走ってきたかに見えた中国に、揺らぎが見え始めたことだ。それは何も、中南海の政変とかいう物騒なものではなくて、経済や金融分野について、単に一時的なものかもしれないが、百花斉放の兆しが表れているのだ。

つまり、経済の専門家たちが、「共産党政権に貢献する」とか「愛国精神に基づく」とかいう大義名分の下で、割と自由にモノが言える雰囲気になってきたのだ。こうした現象は、厳格無比な習近平政権になって初めてのことだ。

 

今週焦点を当てたいのは、「李稲葵論文」である。習近平主席の母校である清華大学の中国・世界経済研究センターの李稲葵センター長らのグループが、7月8日に発表した研究報告である。

全文は18ページで、「戦いをもって協力を促し、苦労し鍛錬して内なる成功を収め、中米協力関係の新たな局面を作り出す」というタイトルだ。全文は、以下のアドレスで見られる。

http://www.ccwe.tsinghua.edu.cn/upload_files/file/20180709/1531122304354053748.pdf

私は過去に何度か、中国で李教授に話を聞いたことがあるが、2013年以降は、李克強首相の経済ブレーンとして活躍している。本人曰く「生粋の北京っ子」で、清華大学を出て、米ハーバード大学で経済学博士号を取った。北京へ戻ってからは、典型的な「海亀派」(海外留学組)の経済学者として活躍。いまは母校で教える傍ら、中国人民政治協商会議委員(政府諮問委員)も務めている。

今回発表された「李稲葵論文」は、国務院(中央官庁)の「李克強派」と呼ばれる改革派の官僚たちに、影響を与えているという。

論文の要旨は、以下の通りだ。長くなるが、中国の典型的な改革派グループの意見を代弁しているので、読み進めてみてほしい。

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