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マイクロソフトの株価が、いま、最高値を記録した理由

3代目CEOが仕掛ける大変革

「現代の魔法使い」とも称される天才科学者・落合陽一氏が「いま自分が22歳ならここに行く」とウェブサイトのインタビューで語った企業がある。世界最大のソフトウェア会社、マイクロソフトだ。

同社の研究機関「マイクロソフト・リサーチ」でのインターン経験も持つ彼がそう評価する背景には、近年の経営方針の大きな転換に見る未来戦略への期待があった。
今、マイクロソフトに何が起きているのか。

8月9日に発売となる『マイクロソフト再始動する最強企業』の著者でブックライターの上阪徹氏が、担当編集者の市川有人氏とともに、日米マイクロソフトの最新情報を「上阪徹のブックライター塾」で語った。

 

創業40年目にして株価最高値

マイクロソフトの株価は現在、史上最高値をつけている。特にこの3年では2倍に値上がりした。1975年の創業から40年あまり。近年の増額がめざましい「FANG」銘柄とは違い、世界の時価総額ベスト5に過去20年間も入り続けながら、その額は創業者ビル・ゲイツの時代を超え、今も拡大を続けている。

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これだけの成長を支えているのは、ソフトウェア事業だけではない。

日本ではあまり知られていないが、マイクロソフトは近年、売上高の14%にあたる年間約1兆円をR&D(研究開発費)にあてている。世界では広くマイクロソフト・リサーチに、巨額の投資をしているのだ。

特に力を入れているのが、MR(Mixed Reality/複合現実)とAI(人工知能)の開発である。中でもMRについては、その将来性に市場の期待が寄せられているという見方もある。

スマホを「前世紀の遺物」にするホロレンズ

MRとは、ゴーグル型のヘッドセットを装着し、現実の空間に3D映像を表示させる技術のこと。コンピュータ・グラフィックなどで製作した仮想空間を体験するVR(Virtual Reality/仮想現実)や、現実の風景にバーチャル映像を重ねて投影するAR(Augmented Reality/拡張現実)の発展型とも言われる。

映画やゲームを中心に普及してきたVR・ARと違い、MRは医療・教育・建築など幅広い分野での利用を目的に、IT各社で開発が進められている。

上阪「例えば、ARの技術が使われている『ポケモンGO』(スマートフォン向け位置情報ゲームアプリ)では、ポケモンの後ろに回り込むことはできません。一方、MRは現実世界と仮想空間を融合させているので、実在する物には触れられるし、3Dの壁に穴を開けて向こう側を覗くというようなことも可能です。」

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マイクロソフトは2016年3月、最新のMR技術を搭載したヘッドセット「HoloLens(ホロレンズ)」を発表し、その完成度の高さで注目を集めた。
実際にホロレンズを装着した二人は、驚きの体験を次のように語る。

市川「空間に浮かべた一つのExcel画面を、ホロレンズを通してみんなで見ることができるんです」

上阪「衝撃だったのは、医学部の学生用に作られた人体模型のアプリケーション。ジェスチャーで指示をすると裸の人間が現れ、クリックすると皮が剥がれて筋肉が見える。さらに、首を突っ込むと内臓を見ることもできる。解剖をしなくても、人体のメカニズムが学べます」