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お答えしましょう、「宇宙の果て」

……現代科学の可能な限り

私だってそれが知りたいよ

「宇宙の果て、というキーワードで書くことはできませんか?」

うーむ、やっぱりそう来たか。そうだよな。それが皆さん一番興味あるところだよな。編集者の方と、ブルーバックスで宇宙論関係の本を出すプランを練っていたときのやりとりである。

私としてはもう少しオーソドックスに、宇宙の歴史を描くことを想定していたのだが、書籍として売るにはやはり何か新しい切り口がほしいとのこと。

そりゃもちろん、私だって宇宙の果てがどうなっているか知りたい。ビッグバンで宇宙が始まる前はどうなっていたのか、知りたい。

宇宙の果て誰もが「宇宙の果て」を夢想するが… Illustration by Getty Images

だが科学である以上、実験や観測で検証できる範囲を超えて何かを断言することはできない。そうなると、書ける内容も自ずと限られてくる。

はたして本として成立するだろうか?

だが考えてみれば、前世紀半ばにビッグバン宇宙論が誕生する前に比べ、宇宙の果てについて我々が科学として答えられることは劇的に増えた。そして1990年代以降の宇宙天文観測の著しい発展により、宇宙の果てについての科学知識はさらに増えている。

もちろん、皆さんが満足するような最終回答にはまだほど遠いだろう。そんなものは永久に無理なのかもしれない。

だが、現代科学としてここまでは自信を持って言えて、ここまではある程度の根拠を持って推測ができ、ここから先は全くわかりません、ということを正面切って本にまとめることはできそうだ。わからないことは素直に「わからない」と言うのが科学的態度である。

そうしてできあがったのが『宇宙の「果て」になにがあるのか』(講談社ブルーバックス)である。

そもそも、「宇宙の果て」とは何だろうか。

「宇宙」という言葉は古代中国の春秋戦国時代(紀元前8~前3世紀)にはすでにあったらしく、「宇」は空間的拡がりを、「宙」は時間軸の拡がりを表すという。時間と空間を一体と見なし、四次元時空としての拡がりを宇宙と定義した古代中国の叡智は、何やら相対性理論を2000年以上も先取りしているようで感動的である。