バカ売れ「AI投信」に退職金2000万円をぶち込んだ男性の末路

AI市場と株価をめぐる、決定的勘違い
福田 猛 プロフィール

「一番の人気商品」だから

銀行員は説明を続けます。「富裕層はこうした有望分野に投資し、資産を増やしているんですよ」とのことでした。

資産が増えれば、将来は余裕のある老後を過ごせるようになると言われ、Aさんは“自分もこうした投資で資産を増やせば、老後は安泰になるかもしれない。妻にも喜んでもらえると思う。たしかにAIやロボットは将来有望だろう”と考えました。

そして、自分の考えを銀行員に伝えたところ、「そうですね、私もそう思います。みなさんAIの将来性を評価しているから、この投資信託は一番人気の商品なんですよ」とのこと。一番人気と聞きAさんは何となく安心しました。そしてAさんは紹介されたAI関連ファンド2000万円の購入を決めたのです。

 

翌日から毎朝Aさんは新聞で購入した投資信託の基準価額をチェックしていました。購入から数ヵ月経つ現在は10%程度評価額が増えています。自分の資産が増えていくのを目の当たりにしてAさんは上機嫌。数ヵ月で資産が10%(200万円)近くも増え、「この調子でいけば本当にゆとりのある老後が過ごせる」と期待を大きくしています。

Aさんの購入した投資信託の基準価額は購入後、短期間で約20%上昇した(出所)ブルームバーグデータより、ファイナンシャルスタンダード作成

実際、上記のグラフがAさんの購入した投資信託の価格推移です。資産運用を始めて、数か月で資産が200万円近くも増え、Aさんの資産運用はまさに上々、そして未来はハッピーそうに見えませんか? 

しかし、このAさんのケースは、じつは資産運用で「失敗」する典型的なものなのです。なぜかといえば、Aさんは投資を行う上で大きな勘違いをしているからです。おそらくAさんは数年後、数十年後に大きく後悔することになるでしょう。