photo by iStock

バカ売れ「AI投信」に退職金2000万円をぶち込んだ男性の末路

AI市場と株価をめぐる、決定的勘違い

定期預金を作りに行ったら、銀行員が勧めてきた

最近、投資信託の販売現場で人気なのがAI(人工知能)関連の投信です。

AIに関する世界各国の企業を中心に投資をして運用する商品が主で、なかにはあまりの売れ行きから一時販売停止する人気商品まで出てきています。

いま売れていて人気の商品なのだからと、思わず飛びつきたくなるのはわかります。ただ、これまで3000人以上の投資家の資産運用を見てきた私からすると、この現象は非常に危うく映るものです。

はたして、いま「AI投信」を購入するのは、資産運用として正解なのかどうか。まずは最近、人気のAI投信を購入したAさんのケースを紹介しましょう。

 

60歳になるAさんは長年勤めた会社で定年を迎え退職金を手に入れました。長かった会社員生活に一段落ついたので今はほっとしていますが、人生100年時代だとか、老後に必要な資金は夫婦で5000万円かかるだとか、年金が減る時代が来るとか……、まだまだ長い老後への不安を抱えていました。

そのため奥さんと今後の資金計画を考えていました。資産運用をしてみることも考えましたが、自分で調べてみても種類が多すぎるし、結局何を選べばいいのかわかりません。

とりあえず一旦は定期預金にでもしようかということで、ネットで「退職金 預金」と検索したところ、三ヵ月円定期預金で金利が5.5%といった非常に魅力的な銀行の退職金向け優遇金利の定期預金の案内があったため、さっそく面談予約を取り、銀行に訪問しました。

photo by iStock

訪問先の銀行では定期預金の説明もそこそこに、資産運用の話を切り出されました。そして銀行員からAI関連の投資信託の案内を受けました

これまでに持株会を除いて株式や投資信託に投資をしたことのないAさんは、漠然と投資に対して不信感がありました。

銀行員の話では、今後の発展が予想されるAI関連の企業に投資をする投資信託なので、「将来性がある」という説明でした。これまでにインターネットをはじめとした新技術の発達によりマイクロソフト、アップル、アマゾンやフェイスブックなど飛躍的成長を遂げた企業が数多く誕生しました。そうした革新的な企業の歴史や、発展が見込める有望市場に投資することの意義を銀行員は強く強調してきたそうです。

確かに、成長市場を代表する企業の株価は30年足らずで100倍近く上昇しているのだが…(出所)ブルームバーグデータより、ファイナンシャルスタンダード作成

関連記事