黒い看護師を完落ちさせた伝説の「割り屋刑事」驚きの実力

あだ名は「ハマの金八先生」
週刊現代 プロフィール

「嘘をつくのはやめような」

病院と老人ホームという違いはあるが、高齢者が連続して不審死を遂げている、目撃者がいない、長期間にわたって捜査が膠着しているなど、二つの事件の共通点は多い。

久保木を落とす切り札として、S氏は投入された。6月29日、県警は久保木を横浜市内のビジネスホテルに任意で呼び、聴取を始めた。

「もう嘘をつくのはやめような」

「亡くなった人のことを考えてみようよ。その人にも家族がいるんだよ。つらい気持ちをみんなが味わっているんだ。あなたも相手の立場になって考えてみなさい」

「いま話すことができなかったら、明日でも、その次でもいい。その時は本当のことをしゃべってくれるか?」

 

S氏のそんな言葉に、この2年間、隠れるように生きてきた久保木の心は徐々に開いていった。さらに、物証を突きつけられ、「黒い看護師」の逃げ場はなくなっていた。

「他の入院患者の体内にも消毒液を入れた。20人ぐらいにやりました」

S氏を前に、久保木はそう呟いた。〝完落ち〟だった。そうして、7月7日、彼女は逮捕されたのである。

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しかし、久保木が落ちたとはいえ、すべての謎が解けたわけではない。

「久保木は動機について『自分の勤務中に患者が亡くなると、家族に説明しなければならない。それが面倒だった』と供述している。

しかし、そんな理由で20人もの人間を手にかけるのか。当局は引き続き、動機面を含め、取り調べを続けています」(前出・記者)

伝説の割り屋は、彼女のさらなる闇に迫れるか。

(文中一部敬称略)

「週刊現代」2018年8月4日号より