名刺もメールも使わない「新型中国人経営者」たちの驚きの思考法

あなたとの「時間の価値」はいくら?
松岡 真宏 プロフィール

中国人経営者がそうしているように、基本的には、「上司から部下へは音声」「部下から上司へは文字(簡潔な!)」が、効率性を高めるための恒等式的法則となる。上司が時間効率を高めれば、直接指示をだせる組織の範囲は広がる。

日本の企業組織はピラミッド型を維持している。これは、トップが直接指示を出す範囲が小さく、中間管理職が必要になる。一方、中国の民間企業は圧倒的に文鎮型組織(経営者以外のほとんどが現場要員の組織)が多い。トップの指示が直接及ぶ範囲が広いからではなかろうか。

知っておくべき「同時性」という概念

中国人経営者だけでなく、我々も一日24時間という時間の制約条件に束縛されている。この制約からは誰も逃れることはできない。一方、誰もがいつでも「生産性アップ」を迫られている現代、私たちはいかに時間効率を高めるかという大命題を突きつけられている。

「生産性を上げる」という命題は、「時間をうまく使う」ことと同義だ。その上で、今後必ず理解しておかなければならなくなるのが、「同時性」という概念である。

「同時性」とは、「同じ時間に」、「同じ空間(場所)」で、第三者と時間を共有するということだ(前回記事も参照)。この「同時性」を意識してコントロールすることが、ビジネスの生産性を向上できるか否かの鍵を握っている。

 

具体的なビジネスシーンにおける、「同時性」を考えてみよう。

最重要クライアントと話す場合、やはり面と向かって直接会話するのが最大のパフォーマンスを発揮できるし、期待した結果を得やすい。直接のミーティングは、自分とクライアントが、時間も空間も「同時性」を維持している状態といえる。

しかし、相手もこちらも他の用事を抱えている。常に相手と直接会えるわけではないので、会えない場合は次善の策として、テレビ電話会議や電話会議などが選択される。この場合、時間の「同時性」は保たれているが、空間の「同時性」が解消された状態である。

Photo by iStock

テレビや電話での会議ができるのは、時間がうまく合うときだけである。だから多くの場合、時間が合わなければ、メールやメッセージアプリなどで、お互いの考えを文字や音声・画像にして送りあう。これは、時間も空間も「同時性」が解消された状態であるといえる。

ある意味で、電話、メール、チャット、LINEといった通信技術の発達は、「いかに同時性を解消するか」という闘いの歴史であったともいえる。前述した「音声を送りつけて指示を出す」中国人経営者の姿は、現時点での同時性解消の「究極の形」と言えるだろう。