「やりたいことだけやれる会社」は本当に最高の職場ですか

「成長できる環境」がわかる2つの問い
吉田 行宏 プロフィール

自分のタイプを知る

上のマトリクスで分類されたそれぞれのゾーンにいるタイプを、私は次のように分類できると考えている。先にマトリクスを載せるので、自分が当てはまったタイプの解説をご覧いただきたい。

■目標観:苦手許容度マトリクス2

A:挑戦者タイプ
常に高い目標を掲げ、実現するためには苦労もいとわないのがこのタイプ。例えば、「一度きりの人生、山に登るからには、エベレストのような高い山を目指したい。そのためなら、辛いトレーニングにも耐えてみせる」と考え、行動する。スポーツ選手や経営者には、このタイプが多く見られる。

次のBゾーンには、B1とB2の2つのタイプが存在する。

B1:願望倒れタイプ
B1タイプは、理想や目標は高く、より良い結果を望んでいる。しかし、達成に必要なトレーニングや、それに伴う苦手なもの、苦労はできれば避けたいと考え、積極的に取り組むことをしないところがある。
同じく山に例えると、「エベレストの頂きには立ちたいけど、そのために苦手なトレーニングを受け入れて、自分の個性を押し殺してまで進むべきか悩んでいる」というのがこのタイプで、行動にブレーキをかけてしまう。結果や評価に執着しやすいタイプでもある。

 

B2:匠タイプ
B2とB1の違いは「こだわり」が非常に強いかどうかだ。全体タイプの中で、B2の匠タイプは、やりたいことや極めたいことに、圧倒的なこだわりがある。そして、こだわりのあることに関してはポジティブで、普通の人にはしんどいことでも、本人は苦労を苦労と感じない。しかし、やりたくないものに関しての苦労は大変辛く、一般の人よりも拒絶反応が強く出る。

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山で言うなら、「私はK2が好きだ。K2にだけ登りたい」というように、好きな山がはっきりしており、K2に登るためなら辛いトレーニングも淡々とこなせるし、むしろ楽しいとさえ感じるが、K2以外の山になると、人から「なぜ、エベレストには挑戦しないの? 同じように高い山なのに」と言われても、まったく興味を示さず、目指してみようなどとは思わないタイプである。研究者、芸術家、役者、音楽家、職人などには、このタイプの人が多いように思う。

C:広域環境適応タイプ
Cは、目標をAやBほど高く設定しないが、苦手なことも受け入れ、ある程度の努力もできるタイプである。山の例で言えば、特にエベレストなど高い山に対するこだわりが強くはなく、「次の連休に登山に行くから、今のうちに少し鍛えておこう」と、苦手なトレーニングも無理なく行え、ストレスもたまりにくい。

D:限定環境適応タイプ
Dは、なるべく苦手なことや苦労はしたくないけれど、目標も高くは持たない。今が幸せならばそれでいいと考えるタイプ。山についても、「別に登りたいと思わない。近くを散歩するのが自分には合っている」と考えるような人だろう。最近の若者は、留学や難易度の高い挑戦には消極的で、身の丈に合った暮らしを求めているという話をよく耳にするが、こうした思考の持ち主もこのタイプだと思われる。

さて、あなたはどのタイプに当てはまっただろうか。私はこの分類でどのタイプが正解で、どのタイプがダメだと言いたいわけではない。一人ひとりの人生においては、当然本人に選択権があり、他の者には決めたり、指示したりする権利はない。

ただ、最終意思決定は自分にあることを認識した上で、自分の人生や自分に関わる人たちを、少しだけでもより豊かにする可能性を探ってみるのもいいのではないだろうか。