平成30年7月5日、第3次地方制度調査会が発足した。
憲法の地方自治の理念を生かすべく地方制度全般に検討を加え、改善していくのが地方制度調査会の役割である。
今回はとくに、「人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応する観点から、圏域における地方公共団体の協力関係、公・共・私のベストミックスその他の必要な地方行政体制のあり方について、調査審議を求める」のだという。
すでに第31次地方制度調査会で「人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申」が示されており、人口減少社会に対する地方行政のあり方についてはその方向性は示されている。
今回はさらに2040年という目標を掲げ、そこから逆算して、必要な体制について調査審議を進めるのだという。
ところで、この2040年から逆算して行う議論については、調査会発足に先立ち、7月3日に総務省より「自治体戦略2040構想研究会」の第二次報告が発表されており、この報告が調査会の議論のたたき台となるようだ。だがこの報告書を見る限り、どうも妙な方向へと進みそうで嫌な予感がする。
今後の地方の未来を考えるためにも、提出されたこの「自治体戦略2040構想研究会第二次報告」を深読みしつつ、これからの自治体のあり方について考えてみたい。
「自治体戦略2040構想研究会第二次報告」(以下、報告書とする)は、人口減少・高齢化がピークを迎える2040年の日本の「内政上の危機」を明らかにするとともに、その「施策(アプリケーション)」を最大限発揮するための「自治体行政(OS)の書き換え」を構想するものだという。
〝政府の施策(アプリ)を実現するのが自治体(OS)だ〟という発想が憲法のいう地方自治の理念に沿うものなのか、筆者にはすでに違和感のある表現である。
ともあれ、そうしたOSの書き換えとしてとくに、①「スマート自治体への転換」、②「公共私によるくらしの維持」、③「圏域マネジメントと(都道府県と市町村の)二層性の柔軟化」、④「東京圏のプラットフォーム」が提起されている。
このうちなかでも①スマート自治体と③圏域マネジメントの二つが重要と思われるので、ここではこの二点に絞って見ていきたい。