「カレー」と「オンラインサロン」と「スポーツ留学」の共通点

“コミュニティ”とは何か【前編】
田丸 尚稔 プロフィール

水野のアイデアは、参加者が“プレーヤー”になることを目指すことで、テーマにより深くコミットし、イベントが開催されない時間、あるいは終了した後でも、その学びや活動は継続されることになり、各人が主役としてコミュニティに関わることになる。

実際に、現在は学校の卒業生が集うFacebookページがあり、クラスに参加した後も活発にコミュニケーションが続いているし、「面白いコンテンツを内々にとどめておくのはもったいない」と、カレーにまつわる活動を報告するサイトができたりと、持続するコミュニティとして進化、発展している。

「参加者の平均年齢は30代後半くらいだと思いますが、男女比は半々、職業はバラバラです。それから、必ずしもカレー好きが集まる場所ではない、というのも興味深い。強いて言うなら“好奇心がある”というのが共通点で、何か面白そうなことをしたい、何か面白そうな場が職場や家庭以外に欲しい、という人たち。

それぞれ自分が属している業界では一線で活躍しているオトナが多いので、カレーという好奇心を掻き立てる素材を軸にしながら、本業の特技を終結させたら、無敵のチームができそうです。医者がいて弁護士がいて、ミュージシャンやデザイナー、IT系、金融、事業家と、本当に様々なジャンルが揃っているんですよ」(水野)

ノウハウより「場」にお金を払う価値がある

「カレーの学校」は、まずリアルな授業があり、そこに付随してオンラインでの繋がりができている一方で、ここ最近盛況なのは、オンラインでの繋がりをメインに据えている“オンラインサロン”だ。

ビジネスやファッション、美容、金融、食、スポーツなど様々なテーマで人々が集まり、大半はそれぞれの分野のカリスマなり第一人者なりがオーナーを務めている。一般的には会費制になっており、月額1000円から1万円くらいまでだろうか。Facebookページなど会員限定のオンライン上でのコミュニケーションを活動の主軸に置きながら、講演会や勉強会などリアルイベントなどが付随しているケースが多い。

オンラインサロンという形態は、実際には数年前から存在し、一部では人気も博してきた。しかし、ここ最近の勢いは、その在り方が次のフェーズに移行したからだと考えている。これをわかりやすく説明するために、活況にあるオンラインサロンを象徴する「はあちゅうサロン」を例に挙げたい。

作家でブロガーのはあちゅう氏がオーナーを務めるオンラインサロンは2018年4月にスタートした。TwitterをはじめとしたSNS上では異様な熱気を帯びたムーヴメントになり、私も“これは実際に見て、体験せねばならぬ!”と、妙な使命感を抱き、4月と5月の2ヵ月間、入会してみた。

オンラインサロンをはあちゅう氏が単独で運営するのは初めての試みだが、実は数年前から他のインフルエンサーとともにいくつかのオンラインサロンを立ち上げている(現在は終了している)。では、以前のものと、今回のものと何が大きく異なっているのだろうか。

オンラインサロンにせよ、リアルイベントの講義や教室、あるいはワークショップなどでは、形式や規模の違いはあれど、運営者と参加者は何かしらのテーマで「教える/学ぶ」という関係性を持ち、参加者が学びに対してお金を払う、というのが一般的な考え方だったと思う。

しかし「はあちゅうサロン」では、何かを教えると大々的に提示することもなく、イベントは講義式のセミナーという形をとらない。それどころか、コンセプトの一つとして“5ギブで1テイク”と謳うように、メンバーにはまずは自分が何かを与える側になることを推奨する。

既存のビジネスモデルで考えるならば、“なぜ、お金をわざわざ払って、しかも自分が与えねばならないのか”という疑問を抱くのは当然で(実際にそのような批判は他のオンラインサロンも含めてよく見られる)、この熱狂を理解するには別の視座が必要になる。