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東京五輪「ブラックボランティア」中身をみたらこんなにヒドかった

みなさん、気づいてますか…?

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたボランティアの募集が9月中旬から開始される。東京オリンピックでは、11万人もの無償ボランティアが動員される予定だが、この件に大きな問題があると発信し続けているのが、ブラックボランティア』を出版した著述家の本間龍氏だ。東京オリンピック・無償ボランティアの数々の問題点を、本間氏に聞いた。(文・角川新書編集部)

なんで無償なの?

――2020年の東京オリンピックに向けて、ボランティアの募集が始まります。この「無償ボランティア」には大きな問題がある、ということですが。

「問題は多岐にわたるのですが、大きく二つあります。

一つが、東京オリンピックは巨大な商業イベントだ、ということです。すでに4000億円以上のスポンサー収入があったと推定されています。超巨大イベントにもかかわらず、なぜイベントを支えるスタッフは無償なのでしょうか。たとえばプロ野球やJリーグ、アーティストのライブやコンサートは有償スタッフが現場を切り盛りしていますよね。

同じボランティアといっても、災害ボランティアと五輪ボランティアは『ボランティア』という言葉でよく混同されてしまうのですが、まったく異なるものです。突発的な災害に対し、被災地で多くの手助けが必要なのは当然ですし、それが無償で行われることに対して、私も異義はありません。公共の福祉、公益に貢献していますし、利潤追求を目的としていませんよね。

 

一方で、五輪は商業イベントです。スポンサーのために利益をどう生み出すか、どう最大化するか、というのが目的です。これで莫大な利潤を上げているのが組織委員会であり、スポンサーを取り仕切る広告代理店…つまり電通です。公共の福祉も公益もほとんどありません。

もう一つが日本の夏特有の暑さです。東京オリンピックは7/24~8/9、パラリンピックが8/25~9/6に開催されます。この酷暑の中で働くのはほかでもない無償ボランティアたちです。

組織委員会は、組織委の金銭負担で熱中症や怪我などに対応するボランティア保険に入れる、と言っていますが、そういう問題でしょうか。万が一、重症になってしまった場合、だれが責任を取るのでしょうか。だれもとらないでしょう」

虎ノ門ヒルズ

――暑さは大きな問題ですね。今年は6月中に梅雨が明け、7月も上旬から40℃に迫る暑さと尋常ではありません。残念ながら熱中症で命を落とす高齢者や子どももいて胸が痛みます。本当にこの東京で真夏にオリンピックを開催するのか、と思ってしまいます。

「もちろん、します(笑)。一度決めたことですから、役所が決める公共事業と同じで後戻りなどできません。

この酷暑については対策ができませんから組織委も頭を痛めていると思います。たとえば、マラソンについては、朝7:00にスタートさせるようですね。ボランティアは事前の準備などありますから、始発でも間に合わないかもしれません。

マラソンコースのアスファルトを熱吸収のもの張り替えるという案も浮上しています。たった一度のマラソン競技ためにアスファルトを張り替えるなんて、いったいいくらのお金がかかるのでしょうか。組織委もスポンサーを取り仕切る電通も自分たちの懐は痛まないわけですから、こういう発想が出るのです」

――1964年の東京オリンピックでは、暑さの問題は大丈夫だったのでしょうか。

「これは特に若い世代には誤解されているのですが、1964年の東京五輪は10月に開催されたのですよ。このときの公式報告書を見ると、『会期の決定』の項にこんなふうに書かれています。

『盛夏の時期は、比較的長期にわたって晴天が期待できるが、気温、湿度ともに極めて高く、選手にとって最も条件が悪いうえに、多数の観衆を入れる室内競技場のことを考えると、最も不適当という結論に達した。』(「第18回オリンピック競技大会公式報告書」より)

すでに半世紀も前に、真夏の開催を『選手にとって最も条件が悪い』『最も不適当』と強い言葉で否定しているのです。これは私にとってもおどろきでした」