欧米では10代からかかりつけ婦人科が

「戦前には子宮内膜症はあまりポピュラーな疾患ではなかったと言われています。子宮内膜は、妊娠をしている間は増殖しません。昔は妊娠回数が多く月経回数も少なかったのですが、今は初経年齢が早く、晩産少産のため昔と比べると約4.5倍もの回数で月経を繰り返しています。月経回数が多くなったことが、子宮内膜症組織が増殖しやすくなっている原因と考えられています。

また、痛みがあっても仕方がないか、と知識不足から月経中に無理をする習慣・無理させる環境、早期に婦人科を受診しない行動も子宮内膜症の患者を増加させる土壌を作っています。ひどい月経痛がある人は、2.6倍も子宮内膜症のリスクが上がることが報告されています。10代でも子宮内膜症にかかる人はいます」(塚田医師)

塚田医師のクリニックで多いのが、10代のころからずっと月経痛を我慢し、30代になって結婚。妊娠を希望するがなかなか出来ないと来院するケース。診察するとひどい子宮内膜症が発覚することが多いという。

「30代後半になると、残念ながら妊娠できる可能性はかなり低下します。だからこそ、私は中高生に学校でも家庭でも、きちんと月経教育をしてほしいと思うのです。10代の頃にひどい月経痛は無理をしてはいけないんだ、痛みがひどいときには病院に行くべきなんだと正しい知識を知っていれば、医師に相談しながらピルを内服するなど、早期治療ができます。明確な治療法があるにもかかわらず、10代の女性が産婦人科を受診することに抵抗がある人が多いのです。もちろん、早期治療ができれば妊娠できる可能性も高くなります」

ちなみに欧米では初経を迎えた頃からかかりつけの婦人科に行っている10代が半数以上いると報じられている。性交渉をする前から、婦人科というものが身近な存在なのだ。「婦人科=大人の女性のための病院」では決してなく、むしろ気軽に相談に行ける存在でなければならないのではないだろうか。

月経教育&学校の月経フォローが必須

塚田医師は、保護者をターゲットに月経の問題点や子宮内膜症のリスクなどについてたびたび勉強会を開いている。また、先に出たNPO法人子宮内膜症啓発会議は、思春期における正しい月経教育を推進するため、スポーツ庁からの委託事業等にて調査や調査に基づく学校向け(教師・生徒)の小冊子などの配布なども行っているという。

しかし、なかなか壁は厚い。熱中症対策のエアコン設備でさえ、耐震対策の後で二の次、三の次とされていたことを考えると、月経教育に危機感を持っていない教育現場では、まだまだ時間がかかりそうだ。

理想は、学校における授業のプログラムとして、月経の知識を子どもたちが思春期のうちに学ぶ機会を設けてもらうことです。私が思春期の頃は、女子だけが月経の対処について学ぶ授業がありましたが、月経疾患については何も教わりませんでした。現在も、教科書には月経のしくみなど書かれていますが、月経=女性特有ホルモンに起因する病気、更年期障害など生涯にわたる女性の疾病の事は教科書に書かれていないため、教えるところ相談するところがないのです。

自分の体のことであり、妊娠出産にもかかわることなのに、その部分が無視されているのが現状です。月経を含む生殖に関する知識を、海外ではサイエンスの授業の中で教えています。学校教育として、月経を教えることは全く恥ずかしいことではありません。

一部の地域では、婦人科医師が学校保健医として活躍していますが、それはレアケースです。この現状を知って、もっと声を上げてほしいですね。それが、子供たちの未来を守ることになるのですから」(塚田医師)

「生理とプールの問題」は、ツイートをきっかけに投げかけられたひとつのトピックだが、ここには大きな問題をはらんでいる。教師も生徒もそして保護者も、生理や性についての正しい知識を学び、10代から自分の身体を大切にできる環境を作ることは、大切な少子化対策の一環とも言えるのではないだろうか。