寿司食べ放題から洋服貸し出しまで「定額制ビジネス」が花盛りなワケ

自動車の「乗り放題」実現も遠くない
加谷 珪一 プロフィール

カフェやアパレル業界にもある定額制ビジネス

時間限定の食べ放題とは少し異なるが、カフェの業界でも定額料金のサービスを提供するところが出てきている。

西新宿にある「coffee mafia」は月額3000円を支払うと、通常は1杯300円のラージサイズのコーヒーが飲み放題となる。来店1回につき1杯という制限があるが、1日何回でも利用できる。似たようなシステムを導入するカフェも増えており、細かい違いはあるものの、月額固定料金で何杯でも飲める仕組みになっている。

coffee mafiaの場合、300円のコーヒーが月額3000円で飲み放題になるので、月に10回以上利用する人ならかなりお得なサービスといえる。コーヒー好きな人なら、月10回などむしろ少ない方だろう。

アパレルの業界でも定額制が拡大している。レナウンは7月10日から、月額4800円でスーツをレンタルする事業に本格参入すると発表した。同社のレンタルサービス「着ルダケ」は、月額料金4800円から9800円でスーツをレンタルできるというもの。

4800円のプランの場合には、シーズンごとに春夏物と秋冬物がそれぞれ2着ずつ送られてくる(最低契約期間は6カ月)。返送したスーツは同社がクリーニングして保管してくれるので、着た後も手間いらずだ。

レナウンのサイトより

サービスを2年間、継続利用すると新品と交換してもらう事ができ、使用済みのスーツは同社が引き取ってくれる(利用者が買い取ることも可能)。提供されるスーツは1着6万円前後の商品ということなので、それなりのスーツを着る人にとっては、割安感が得られるだろう。

紳士服大手のAOKIも月額7800円でスーツやシャツ、ネクタイのセットをレンタルできる「suitsbox(スーツボックス)」というサービスを始めるなど、定額制はひとつの流れとなりつつある。

 

単価と原価率から考える

利用者からすれば、こうした定額制のサービスは、利用頻度が高いか、食べる量が多いのであれば、検討に値するといってよいだろう。だがサービスの提供者から見た場合、定額制というのは果たして維持可能なビジネスモデルなのだろうか。

一般的に、寿司は原価率が高く50%近くになることも多い(通常の飲食店は20%~25%程度)。このため寿司で収益を上げるためには、単価を極めて高く設定するか、客数を増やすしか方法はない。前者は高級寿司店が採用している戦略で、回転寿司の場合は後者ということになる。

回転寿司の業界は競争も激しいので、顧客の奪い合いという状況が続いている。こうした市場環境では、利益を多少犠牲にしても食べ放題のサービスを導入し、顧客数を増やした方が結果的に収益は拡大するケースが多い。

確かに食べ放題にしてしまうと、大量に食べる客が一定数、出てくるので、場合によっては採算が悪化する。だが、すべての顧客が大量に食べるわけではないので、時間制限さえ加えておけば、消費量は一定範囲に抑えることができる。多数の顧客が集まり、回転率が上昇すれば、その分だけ収益の絶対値は増えるので、店舗にとって悪い話ではない。