サーファーに納豆アレルギーが多い、その意外な理由

知られざる「交差反応」の恐怖
木原 洋美 プロフィール

バナナやアボカドで喉が痒くなる人は…

医療の現場で特に問題視されている交差反応が「ラテックス・フルーツ症候群」だ。

1980年頃から欧米諸国では、天然ゴム(natural rubber latex)製品との接触によって起こる「ラテックスアレルギー」で多数の死亡例が報告され、大問題になった。

天然ゴム製品は、手袋、カテーテル・絆創膏などの医療用具、炊事用手袋、ゴム風船、コンドームなど、私たちの身の回りにもあふれている。

そしてゴムは、バナナ、アボカド、キウイ、栗などと交差反応がある。もし、これらのフルーツやナッツ類を食べて、唇や舌、口の中が腫れたり、かゆみやイガイガする感じがあらわれた場合には、ラテックスアレルギーを疑った方がいい。食べたことで、アナフィラキシーショックの引き金になることもあるからだ。

医療従事者、特にゴム製手袋を多用する手術執刀医・看護師、歯科医療従事者、繰り返し手術やカテーテル治療等を受けている患者は特に危ない。

たとえば日本ラテックスアレルギー研究会は、次のような事例を報告している。

●ラテックスアレルギー患者がアナフィラキシーショックを発症
30歳代の看護師が、業務で使用していた天然ゴム製のゴム手袋で手指にかゆみが発現したため、皮膚科で検査したところ、ラテックスアレルギーと診断された。診断と同じ月に、栗きんとんを摂取したところ、発作性のせきと喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー又はヒューヒューという呼吸音)が出現したので、救急外来を受診した。診察の結果、気道内の粘膜のみに発疹の症状があったので、アドレナリンを投薬し、いったんは改善したが、その後、抗アレルギー作用薬を点滴したところ、更に動悸、吐き気、意識混濁が起こった。確認したところ、点滴に使用する管に一部天然ゴム製のゴム管を使用していたことから、栗と天然ゴムによるアナフィラキシーショックを起こしたと疑われ、そのまま入院となった。(報告年:1998年、30歳代女性)

ラテックスアレルギーを持っていたこの看護師は、交差反応がある栗きんとんを食べたためにアナフィラキシーショックを起こしたのだ。

日本ラテックスアレルギー研究会によると、現在医療用具では、ほとんどの製品でラテックスフリー化が進み、手術用手袋も、性能のよい非ラテックス製手袋が販売されているが、交差反応を示すフルーツには気をつけなければいけない。

2017年3月、経済産業省は、消費者庁および厚生労働省と連携し、ラテックスアレルギーとラテックス・フルーツ症候群について消費者への注意喚起を行った。

年々患者数が増加し、かつ複雑化するアレルギー疾患。神戸中央市民病院の救命救急センターには、2017年だけで160人ものアナフィラキシーショック患者が搬送されたという。そのほとんどは食物によるものだった。

 

アレルギー、特に「交差反応」はまだまだ未解明なことが多く、医者任せでは自分の身を守れない。なにせ毎日食べている納豆が、生命を脅かす存在になる可能性もあるのだから怖い。しかも、昨日までは平気だった食物に、ある日突然、反応してしまうこともある。

アレルギー体質の人は情報収集に努めるとともに、食物を口にする際は、むくみやピリピリ等の異常が生じないか、自分自身に注意を払う必要がある。

診断・治療・予防には、「いつ、何を食べたか」「どれだけの量を食べたか」を記録する、『食物日誌』が推奨されている。

アレルギーっぽい症状があらわれたら即、日誌を持って専門医を受診しよう。まずは、自分が何に対して反応しているのかを特定することが先決だ。