photo by iStock

サーファーに納豆アレルギーが多い、その意外な理由

知られざる「交差反応」の恐怖

アレルギー患者が、気をつけなければいけないアナフィラキシーショック。実は特定のアレルゲンだけでなく、異なる抗原でも起こりうるという。これは「交差反応」と呼ばれる症状。そのリスクは意外なところに潜んでいる。

ハチは2回目が危ない、とは限らない

「殺人アリ上陸!」――。

2017年、神戸港で荷揚げされたコンテナからヒアリが発見され、日本中が大騒ぎとなった。

ヒアリ(火蟻)は、その名の通り、刺されると火傷したような熱感を伴った痛みを感じる恐ろしい生物。毒性はスズメバチと同程度に強く、北米では毎年100人以上が死亡している。

連日、マスコミの報道では、毒性の恐ろしさが強調されていたが、対応にあたった神戸市立医療センター中央市民病院・救命救急センターの有吉孝一医師は、「怖いのはむしろ、毒性の強さよりも、アレルギーの交差反応によるアナフィラキシーショック(急性アレルギー中毒)でした」と語る。

「交差反応によるアナフィラキシーショック」というのは一体どういうことなのだろうか。

「殺人アリ」として話題となったヒアリ photo by iStock

アナフィラキシーショックとは、アレルゲンとなる物質を摂取、接触または吸い込んだときに起きるアレルギー症状で、特に症状が重いものを指す。

発症から短時間で症状が悪化することもあり、重篤な場合は5~30分で心停止に至り、落命する危険性がある。

厚生労働省の調査によると、2001年から13年までのアナフィラキシーショックによる死者は768人。原因はハチ266人、食べ物40人。心停止や呼吸停止に至る時間はハチが約15分、食べ物30分に対し、薬剤は5分と短い。

有名なのは、ハチによるアナフィラキシーショック。ハチは1回目より2回目に刺されたほうが重篤化しやすいという話を聞いたことがあるだろう。これは一度刺されると、体内で抗体ができてしまい、二度目に刺された際に体が過敏反応してしまうのだ。

 

では、同じアレルゲンにだけ気をつけておけばよいかといえば、それは違う。恐れるべきは「交差反応」である。

これは、あるアレルギーを持っている人が、そのアレルゲンと似たような物質が含まれた、別の食物や毒などに対してもアレルギー症状を起こしてしまう現象。人間の免疫機能は緻密なようで、案外ざっくりしているものなのだ。

ヒアリは、アシナガバチやスズメバチの毒と交差反応性があり、これらのハチ毒はムカデの毒とも交差反応をきたすことが知られています。

つまり、ヒアリに刺されるのが初めてであっても、その前にムカデに刺されたことがあれば、アナフィラキシーを起こす可能性が高まる。逆にヒアリに一度でも刺された人が、次にハチに刺された場合も危険です。

だから救急としては、ヒアリの刺された患者が運ばれてきた際には、アナフィラキシーショックに対する備えが治療の根幹となります」(有吉医師)

交差反応がやっかいなのは、思いもよらない物質同士に、まさかの“似た者同士”が存在することだ。

実は意外な組み合わせでアナフィラキシーショックが起こることが、最近分かりました。サーファーやダイバーには納豆アレルギーが多いんですが、そこに交差反応が潜んでいたんです」(有吉医師)